KUIS 関西国際大学
 【現代GP】地域防犯に関するパネルディスカッションと今年度の成果発表会を開催
 

 3月1日(土)に、地域防犯に関するパネルディスカッションと今年度の成果発表会を開催しました。午前中は4-101教室で「地域防犯の新たな視点にむけて」というテーマでパネルディスカッションが開かれ、午後からは4-103教室で学内の各担当教員および学生による、今年度の活動発表会が行われました。

パネルディスカッション 「地域防犯の新たな視点にむけて」

 午前中は犯罪科学専攻の桐生正幸教授による基調講演の後、学内外の6名のパネリストをお迎えして、防犯活動の現状を踏まえながら、今後、どのような防犯のあり方がよいかを論議していただきました。司会は人間心理学科犯罪科学専攻3年の山本由香さんが務めました。

 最初の基調講演で、桐生教授は、加古川市で起きた女児殺害事件について触れ、「この事件は、防犯活動がさかんな地域での自宅前での犯行といったことから、一瞬の隙間をついた特異な犯行といえる」としたうえで、「防犯活動が犯罪者不在の活動になっていないか見直し、犯罪心理学の視点から防犯活動を考えてみることが大切である」と提言しました。そして、「犯罪者は逮捕される危険性と刑罰の重さとを比較し、犯罪から得られる利益の方が多ければ、その犯罪行動を選ぶ」と説明しました。さらに、「防犯に特化した防犯活動はなかなか長続きがしない。防犯活動を『よりよい地域をつくる』ための活動の1つとして捉えたほうがよい」と提案しました。そして「地域の父親の役割が重要。子どもと一緒に登下校のルートを歩くなど、もっと地域に目を向けほしい」と、父親の防犯活動への参加を呼びかけました。

 続いて、パネリストからの報告・発表と意見交換が行われました。

 株式会社シスダックの小野寺徹氏は、地域の自治会長を20年務めている経験をもとに、現在の学校主導の防犯活動体制に疑問を投げかけました。また、より多くの人に防犯に関心を持ってもらうために、防犯に関するポータルサイトの立ち上げなどを提案しました。

 三木市高齢者大学大学院の新田為章氏は、ご自身がボランティアとして参加されている、三木市緑ヶ丘地区の地域防犯活動の取組を紹介しました。

 前兵庫警察署長で、現在、本学の犯罪科学専攻で教鞭を執る古河逞箭教授は、一般の殺人事件や子供が被害者となる殺人・強姦事件を例に挙げ、世間で思われているほど凶悪犯罪は増えていない実態をデータで示す一方、児童虐待の相談件数や少年犯罪の人口比は増加している点を指摘しました。また、警察官としての経験をもとに、「兵庫・長田地区は、震災後はまちが明るくきれいになって犯罪率が低くなった。まちをきれいにすることで犯罪は減らせる」といい、過去に逮捕した放火犯の供述から、「地域住民によるパトロールは、犯罪の抑止力がある」と強調しました。

 犯罪科学専攻4年の松田睦代さんは、「犯罪不安調査について」という題目で、大学の所在地である青山地区のアンケート調査とフィールド調査の結果を発表し、その結果をふまえて、「防犯活動に女性の声をもっと取り入れるべき」と提案しました。

 財団法人都市防災研究所の須谷修治氏は、静岡県三島市や鹿児島市、大阪府八尾市などの「安全・安心まちづくり」の事例を紹介しました。

 高知県警科学捜査研究所の岡崎伊寿氏は、過去3年間の防犯に関する見出し記事を紹介し、「防犯活動の方法についてはさまざまな視点から充実させていく必要がある。犯罪内容は社会の流れによって変わっており、特にサイバー犯罪については防犯対策が急務である」と指摘しました。

 最後に、学生によるNPO法人「RANGER・CSO」代表の杉水流大河さん(犯罪科学専攻3年)が、NPOの活動内容を紹介して締めくくりました。


活動成果の発表

 午後からは、現代GPプロジェクトの担当教員や学生たちが、今年度の活動成果を発表しました。

1. 子ども・子育て元気アップフォーラムに参加して
2. キッズオープンキャンパスでのステージ発表
3. じゃがいもの家を守るプロジェクトの取組
4. シニア受入モデルの開発
5. 子どものスポーツ振興−地域に向かってキックオフ−
6. 高齢者虐待対応マニュアルの作成
7. 防災クイズQ&Aづくり
8. 地域の安全・安心
9. 現代GPプロジェクトの抱える課題


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2007/3/4開設