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    【学長室】2012年度 学位記授与式 式辞(1)

     卒業生の皆さんご卒業おめでとうございます。 

     ご臨席を賜りましたご来賓の皆様方、お忙しい中、卒業生の門出に立ち会ってくださいましたご厚情に心より感謝申し上げます。またご家族の皆さま、心よりお慶びを申し上げます。成長されました彼らの門出に、喜びもひとしおのこととお察し申し上げます。 


     さて、本学の学位記授与式は、大変長い時間をかけて皆さんを送り出す式となっております。今日皆さんが着ているアカデミックガウンは、この学位を持っている者のみが着用を許されるガウンであり、皆さんの4年間の学び、その一つの終着点を飾ります。そして、異なる学位であっても、等しく同じ立場であることを象徴する服装でこの式を迎えます。 


     皆さんのこの4年間の学生生活にはさまざまな思い出が残っていると思いますが、最大の出来事は2年前の東日本大震災ではなかったでしょうか。天災と人災、地震と津波に原発事故が重なり、深刻な被害が発生しました。15,882人の方が亡くなられました。行方不明者2,668人、併せれば18,550人にも上ります。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。また、ご家族や友人、家や仕事を失われ、故郷に住んだり戻ったりすることすらできない方々も今日なお数多くおられます。被災され、今なお苦しみと戦っておられる方々に心よりのお見舞いを申し上げます。  

     これまで当たり前であったこと、家族とともに暮らすこと、仕事に行くこと、地域の人々や友人との付き合いや語らいが、ある日突然奪われてしまい、自らの力だけではどうしようもないという状況に追い込まれ、まるで空気や地面のように、無くてはならないものではあるが、日常的には実感していなかったものの大きさを痛感されているのではないかと思います。 

     この悲劇を経験して、人生観や価値観が変わったという声を数多く耳にすることがあります。この経験は日本や日本社会にとって文明論的な転機になるかもしれないという声すら上がりました。あれから2年が経ちました。復興は残念ながらなかなか進んでいません。他方、「震災が風化している」と感じている人が被災地や被災地でない地域でも約6割の方が実感しています。ずっと記憶に留め守り続けていくべきものと、新たなものに切り替えていくことが期待されるものを、われわれはどのように整理していけばいいのでしょうか。 


     本日の式辞を考えるにあたって、皆さんに言葉を贈りたいと考えます。「不易流行」という言葉をご存じでしょうか。「不易流行」とは蕉風俳諧(しょうふうはいかい)の理念の一つであり、松尾芭蕉が『奥の細道』の旅の間に体得した概念であるといわれています。「不易」というのは何か。俳句でいえば、五七五の一七音形や季語の存在が「不易」であり、ずっと守っていかなければいけないものであります。一七音という限られた中で常に新しい表現を求めていくのが「流行」であるということのようです。「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」即ち「不変の真理を知らなければ基礎が確立せず、変化を知らなければ新たな進展がない」、しかも「その本は一つなり」即ち「両者の根本は一つ」であるというものです。「不易」は変わらないこと、即ちどんなに世の中が変化し状況が変わっても絶対に変わらないもの、変えてはいけないものということで、「不変の真理」を意味します。逆に、「流行」は変わるもの、社会や状況の変化に従ってどんどん変わっていくもの、あるいは変えていかなければならないもののことです。「不易流行」は俳諧に対して説かれた概念ですが、学問や文化、あるいは人間形成にもそのまま当てはめることができます。 


     今の時代は、「不易」より「流行」が重視される風潮が非常に顕著です。これから皆さんが出ていく社会、特に企業からは「即戦力になる人材」「直ぐに役に立つ知識」というものが期待される時もあります。しかし、「即戦力になる人材」は往々にして基礎がしっかりしていないために寿命が短いことが多く、「直ぐに役に立つ知識」は、明日は役に立っても明後日には陳腐化する可能性がある、ということであります。 

     激動する現代社会というのは、目先日々の価値観にとらわれ、短絡的にすぐに役に立つ実用的なものを求めがちですが、このような時代だからこそ「無用の用」、つまり一見今役に立たないというものを大切にする、或いは「不易流行」即ち基礎をきっちり守りながら新しいものを追及していくということが重要ではないかと考えます。 


     それでは、人間の生き方としての不易とは何でしょうか。私は「自らを振りかえること」と「能動的」に生きることではないかと思います。 



    (2)へつづく

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