2019年度の国際コミュニケーション学部発足に先がけ、英語の基礎力を養い、TOEICスコアの大幅アップを実現する短期集中プログラムがスタートしました。
監修・指導にあたったのは、気鋭のアメリカ研究者であり独自の長文読解メソッド「ロジカル・リーディング」を体系化した百戦錬磨の英語指導者として知られる横山雅彦准教授。
実質3か月程度 という短期間の取り組みにも関わらず、出席率上位3割が平均150点ものスコアアップを果たしました。特に伸び幅の大きかった2人の学生に、これまでの学び、そして、これからの目標について聞きました。
「文法」をインストールして英語が読める人になる!
─ まず、英語コミュニケーション学科を志望した理由を教えてください。
●濵田さん 僕は高校生のころは野球ばかりやっていて、 実は他大学にスポーツ推薦で進学する予定でした。 ところが入学直前に野球以外の可能性を考えたくなって、進路を一度白紙に戻したんです。その後、アメリカでのホームステイを経て英語に興味を持ち、同級生に2年遅れて大学に入りました。
●石平さん 僕は中学生のころに英語に興味を持ちました。人にものを教えるのも好きだったので、英語教師を志して関西国際大学を志望しました。
─ 最初に横山先生の授業を受けたときの印象はいかがでしたか。
●濵田さん 正直、全然分からなくて焦りました。
●石平さん 僕もです。でも、横山先生の授業は高校までの英語と全然違いました。 今まで「とにかく暗記しろ」と言われてきたことも、理屈で丁寧に教えてくれるんです。「今までの英語はすべて忘れて、ここでゼロから学び直そう」と、気持ちを入れ替えました。
●横山 最初は徹底して文法をやりましたね。英語の文法はパソコンのOSのようなもので、しっかりインストールしておかないと英語が起動できません。とはいえ、最初はわけが分からなくて大変だったと思います。
●濵田さん 「何でも質問して」と言われていたので、本当に何度も何度も先生の研究室に通いました。そして、とにかく自分でも復習しないとダメだと思って自習もがんばりました。 最初は「勉強しよう」と思っても、ついケータイをいじったりしていましたが、先生がすごく励ましてくれて、夏ごろには毎日の勉強が日課になりました。
●石平さん 僕も高校までは自宅で勉強する習慣がなかったんですが、大学生になってからは自宅でも集中して勉強できるようになったので、両親が驚いています (笑) 。
─ 「分かった!」と思えるブレイクスルーはいつでしたか。
●濵田さん 夏ごろです。英文を読んでいると「これは○文型だな」と自然に分かるようになって……。
●石平さん 僕もです。名詞、形容詞、副詞の節が理解できるようになると長い文章でもだいぶ楽に読めるんですね。
●横山 そう!5文型が分かればこっちのものです。英文はどんなに複雑なものでも、必ず5文型のどれかに当てはまります。文型が分かれば文章の構造がクリアになって意味がつかめる。だから5文型は本当にしつこくやりましたよね。その甲斐がありました。
半年でスコアが200点ア ップ1年後に900点をめざす
─ 具体的なTOEIC対策はどのような内容でしたか。
●横山 昨年6月、始めてチャレンジしたTOEICのスコアは、石平くんが400点台前半、濵田くんは300点に満たない得点でした。 私は 「来年の6月までの1年間でスコアを倍にしよう」と話したと思います。とはいえ、春・夏は文法しかやっていませんから、実際にTOEIC対策を始めたのは秋学期からです。軸になるのは週1回の対策授業。それに加えて、学修支援センターで毎日、昼休みの30分間を利用してパートごとに実践形式の模擬テストを受けてもらいました。石平くんも濵田くんもこれらのプログラムに皆勤で参加してくれましたね。
●石平さん 先生のおかげで文法はある程度分かるようになりましたが、実際に問題を解くと単語力のなさを痛感しました。
●横山 TOEICは基本的にビジネス英語だから単語が独特だよね。どうやって語彙を増やしたの?
●石平さん「記憶は寝ている間に定着する」と聞いたので、ベ ッドの横に単語帳を置いて寝る前に見ています。そして翌朝、覚えているかどうかを確認するんです。
●濵田さん 僕は横山先生から推薦してもらった参考書の単語をひたすら覚えました。通学中の電車の中で本を開いて、帰宅するとノートに書く。それをセクションごとに繰り返ました。
●横山 長文読解対策もまだまだ不十分なので、苦戦していると思います。
●濵田さん 問題が多くて、時間が全然足りません。ただ、横山先生に「飛ばし読みをしたり、問題文を先に読むのはダメ」と教わったので、とにかく速く読むしかないと思って量を読むようにしています。実際、毎日読むことで少しずつスピードが上がってきました。
●石平さん リーデ ィングの授業で使う長文も、1回目は分からない単語を飛ばしてざっと意味をつかむのですが、その後の復習では単語をちゃんと調べて繰り返し読むようにしています。
●横山 素晴らしい。 小手先のテクニックを使うより、正攻法でしっかり読む方が結果的には効率がいいんです。
─ リスニングはどうですか。
●横山 私の授業でも音読を取り入れていますが、それ以上に本学にはネイティブ教員のオールイングリッシュの授業が充実していて、リスニング試験にかなり役立っていると思います。
●濵田さん はい。横山先生からも聞き取りのコツを教わっていますし、授業で耳が慣れて、リスニングは半年でかなり自信がつきました。
─ そして、12月に受けた2回目のTOEICでは、ふたりとも大きくスコアを伸ばしましたね。
●濵田さん 僕は200点以上スコアが上がって500点台まであと少しです。
●石平さん 僕は240点アップの670点です。模試では最高730点までいったので、6月には800点に乗せたいです。
●横山 絶対にいけるよ。4月からは、長文も含めてさらに追い込みをかけるから、900点だって夢じゃない。次のステップでは、留学を見据えたTOEFLにチャレンジしていきましょう。
英語を学ぶことで夢がどんどん広がっていく
─ 英語をしっかり学んだことで変化したことはありますか。
●濵田さん 日本語と英語って、似たような単語でも意味がかなり違いますよね。たとえば「作る」と「make」では、示す範囲が全く違います。英語を学ぶことで言葉をより広いイメージで理解するようになりました。
●石平さん 言葉の背景にある文化も違うから、日本語で考えたことをそのまま英語にしても意味がうまく伝わりませんよね。これからは、もっと英語で考えられるようになりたいと思っています。
●横山 そこが英語を学ぶ面白さですね。英語を本当の意味で読めるようになるには、政治、社会、宗教、文化など幅広い知識が必要です。そういう意味では、語学ってすごくリベラルアーツに近いんですよ。だから英語を学べば知識欲もどんどん広がっていく。世界を広げるためにも、まずはここで英語に全身全霊でぶつかって、「英語バカ」といわれるぐらいになってほしい。そのための環境は用意できていると思います。
─ 将来は、英語力を生かしてどんなことがしたいですか。
●濵田さん まずはアメリカ留学のための語学力をつけたいです。日米の教育の違いも調べてみたいです。
●石平さん 横山先生のように、英語の面白さをたくさんの人に伝えられる教師になりたいです。僕が入学した年に横山先生が着任されたことは運命だと思っているので、これからも背中を追いかけます。
●横山 TOEICの高得点はあくまで通過点ですが、大きくスコアを伸ばしたという成功体験は、確実に自分の中に残ります。そのためのお手伝いができたことが本当に嬉しい。何十年も英語を教えてきた私自身、ここまで大きく伸びるのを目撃したのは初めてです。よくついてきてくれました。誇りに思っています。
─ 最後に高校生にメッセージをお願いします。
●濵田さん 僕はずっと勉強ができないというコンプレックスがありました。でも、勉強したいという気持ちさえあれば、この大学では、先生方がしっかりサポートしてくれます。勉強が苦手な人も安心して学んでほしい。そうすれば将来の選択肢が広がると思います。
●石平さん 今、英語ができるとかできないとか、気にする必要はありません。「英語をしっかりやっていこう」 という気持ちがある人は、必ず伸びると思うので、ぜひ入学してきてほしいと思います。
横⼭ 雅彦 准教授
東京外国語⼤学⼤学院
地域⽂ 化研究科 ヨーロッパ第⼀専攻 地域研究コース 修⼠課程修了 修⼠(国際学)
著書
『横⼭雅彦の英語⻑⽂が ロジカルに読める本』
『ロジカ ル・リーディング──三⾓ロジ ックで英語がすんなり読める』 等