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    【観光学科】プロジェクト・マネジメントの極意 2 ~冬眠するイチジク マイナス40℃の厳冬を生き抜く知恵~

     

    【2021年6月11日】

    みなさんは、中国の新疆ウイグル自治区をご存知でしょうか。中国の北西部にあり、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタン、インドといった国々と国境を接しています。南側にはカラコルム山脈・崑崙山脈が、北側には天山山脈が東西に連なり、中央部には広大な草原と砂漠が広がっています。


    そこには、多様な民族が暮らしていますが、多くはテュルク系のウイグル族の人々です。また、南と北の山脈沿いに東アジアと地中海を結ぶシルクロード(絹の道)が走っています。シルクロード沿いには、山脈の雪解け水が湧き出るオアシスの村々が点在しています。かつて、マルコポーロもこの絹の道を通ったのです。

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    歴史的には、第二次世界大戦が終わる混乱の中、中国軍が攻め込み占領・領有化し、現在に至っている地域です。最近では、アメリカや欧州の国々が、中国政府によるウイグル族への弾圧を非難し、国際的な人権問題として注目されていますよね。


    2012年8月に新疆ウイグル自治区政府の要請を受けて、この地を訪れ、1カ月間滞在。あるプロジェクトのスタートアップを行いました。

    プロジェクトの目的(ミッション)は、オアシスで栽培されているイチジクを重慶などの大都市に輸送するコールドチェーンを構築するというものでした。当時からウイグル族への弾圧のことを知っていたので、この仕事を受けるかどうか少し悩みましたが、オアシス農業を営んでいるウイグル族の人々のためになるだろうということと、子供のころからの憧れだったシルクロードを訪れることができるということもあり、承諾しました。

    車で移動する際は、必ず前後に公安機関の車がつくなど、24時間監視下におかれ、宿泊も人民解放軍の鉄条網に囲まれた宿舎でした。もちろん私の安全確保のためでもあるのですが、キルギスやカザフスタンの有力者と会う時は、結構自由でしたから、ウイグル族の人々との接触を監視するという目的もあったのでしょう。


    まずは、現地踏査を行います。日本で、多くの文献や資料、論文に目を通し、事前調査済みなのですが、やはり現場調査が何よりも重要です。観る、聴くなど自分の五感をふるにつかって調査活動を行います。マーケットリーチの「観察(Observation)」という調査手法です。モノだけではなく、人の行動の特徴、表情も観察します。


    もう一つは、出会った人々とのデプス・インタビューです。1対1でのインタビューなのですが、一つのことについて質問をいくつも重ね、深く聞き込みます。本当に納得のいくまで、「どうして?」「何故?」を繰り返し、目に見える現象の背景や要因、もっと言えば問題の本質を理解するまで質問をするのです。これを行うことで一見複雑な現象も、とてもシンプルに、とても簡潔に理解することができます。(これを「simplify」と言います。)


    例えば、ある農家を訪ねると、調理器具が目に入ります。電気、ガス、薪のどれを使っているのかを観察します。電線が通っていてテレビも映るのに、薪をつかって調理しているとします。何故、薪を使っているのか?と質問します。「昔からこの方法だよ。」と答えが返って来て、それで理解できたと思ってはだめなのです。
    「電気が来ているから電気コンロでもいいのでは?」と質問します。「いやいや、電気コンロじゃうまい料理は作れないよ。」との答え。ここで納得するのはまだ早いのです。
    「電圧はどれくらい?」と尋ねます。「いや電圧の問題じゃなくて1日に何回も停電するからねえ。」との答え。これが問題の本質なのです。コールドチェーンの構築に停電は致命的なトラブルの原因になりますからね。ナイス発見です。

    このように課題の本質を把握できてこそ、課題の解決方法を考えることができるのです。


    後輩たちには、「5歳児に戻れ」といつも言っていました。「空は何故青いの?」「象の鼻は何故長いの?」など「何故?」を何回も繰り返し、親を困らせる5歳児と同じように本当に納得のいくまで質問を繰り返さないといけないのです。

    海外、とりわけ辺境と呼ばれる(「先進国から見れば」の話ですが)地で仕事していると驚かされることはたくさんあります。環境が違えば異なる文化、風習、技術、考え方が生まれますからね。


    ウイグルで印象に残っていることはたくさんあるのですが、今回は二つだけ紹介しましょう。

    一つは、イチジクは、暖かい地域で育つ果樹です。ところが、ウイグルは砂漠気候のため、冬場は氷点下40度まで気温が下がります。ふつうは、イチジクの樹は枯れてしまいますよね。でも、オアシスの人々はある方法で厳しい寒さの中イチジクの樹が枯れないようにしているのです。さて、その方法とは、何しょうか?もちろん、グリーンハウス(温室)栽培ではないですよ。答えは文末に書いておきましょう。

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    もう一つ驚かされたのは、カシュガル滞在中に1日だけ休日を頂いたのですが、公安部のスタッフが日帰りの観光に行こうと誘ってくれました。朝早く宿舎を出発し、車で走り続けると素晴らしい景観の山岳地帯へ。ところが、走った時間と方角を考えるとどうみても既に国境を越え、カラコルム山脈の西端に来ているはず。つまり、タジキスタン経由でアフガニスタンの領土内に入っているはずなのです。「でも途中、国境検問所はなかったし、人民解放軍の検問所を一つ通っただけだったよな??」

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    そこで、「あの山はK2ですよね。てことは、ここはアフガニスタンの領土内?国境を越えていますよね?」と尋ねると、返って来た答えは、「吉田さんの持っている地図はイギリス人が昔作ったものですよね。私たちは中国制の地図を使っています。中国の地図ではここは中国領土内なのです。毎年、地図は変わっているのですよ。」というものでした。
    これが、いわゆる「実効支配」という現実であり、中国の人々の実感覚なのですね。


    そうそうクイズの答えですが、「土の中に埋める」が正解です。イチジク園を訪問して不思議に思ったのは、イチジクの樹の一つ一つの枝に支え木が添えられていること。何故だろうと尋ねてみると、農家のおじいさんが「おっ、いいところに気づいたね」とでも言うように微笑んで、支柱をはずし、枝を地面に倒してスコップで土を覆いかぶせる作業を実演してくれました。なるほど!先人たちの知恵は素晴らしい!イチジクの冬眠というわけです。



    国際コミュニケーション学部 観光学科 吉田 誠

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