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シドニーとバンクーバー、
2つのプログラムを通じて
身に付けた3つのスキル

グエン トゥア ニョ Nguyen Thua Nho
国際コミュニケーション学部
英語コミュニケーション学科 4年

――昨年、2022年度シドニー派遣プログラム(短期)に参加していますが、参加の動機を教えてください。

先輩から「わずか2週間の短期プログラムではあるけれど、シドニーのプログラムは本当にすばらしい」と勧められて応募しました。それまでネイティブスピーカーと直接会話をする機会があまりなく、英語圏の国にも行ったことがなかったので、自分の英語がどれほど通用するのか、一度挑戦してみようと思い、参加しました。

 

――当時の英語力は?

祖国ベトナムでは、英語か中国語を話せなければ就職が難しいこと、また2015年頃から海外留学支援が増加し、多くのベトナム人が海外留学をするようになったこともあり、英語力の高い人材が急増しています。ベトナムの高校で勉強した英語を基礎に、日本で英語の勉強を続け、シドニーに行った時点でのTOEICの成績は915点でした。

 

――「アントレプレナーシップ」をテーマにしたプログラムでしたが、実際に参加してみてどうでしたか。

日本から一緒にプログラムに参加した友達10人と一緒に、とても楽しく過ごすことができました。ウエスタンシドニー大学は休み期間中で、現地の学生と交流する機会がなかったのは残念でしたが、アントレプレナーシップは大学入学前から興味を持っていた分野で、これまで自分が学んできたことを、より高いレベルで学ぶことができたと感じました。

 

――今回参加された、2023年度カナダ派遣プログラムは、バンクーバーアイランド大学(VIU)での4か月の長期留学プログラムでしたが、どんなチャレンジがありましたか。

到着初日から大変でした。大雪によりフライトがキャンセルされ、急遽フェリーでの別ルートを探し、ナナイモまで行かなければなりませんでした。突然のことでしたが、来日直後に日本の複雑な電車・バスのシステムに慣れるのにすごく苦労したことと比べれば、カナダの公共交通機関はとてもシンプルで、冷静に対応できました。

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――キャンパスライフ、寮での生活はどうでしたか。

到着して最初の1週間程度は時差ボケもあり、なかなか普段の調子が出なかったのですが、先生方も友達も皆とても親切で話しやすかったです。授業でも隣の席の人がすぐに話かけてくれて、それまでの授業の内容や進度など、親身に相談にのってくれました。
本格的なアカデミックレベルの英語なので、最初の1か月は特に難しさを感じましたが、授業内容は日本の大学で既に学習したコンテンツが多かったこともあり、独特な表現方法やフレーズを習得した後は、スムーズに学習することができました。
カナダの人は皆本当に親しみやすく、ベトナムに帰ったような気分になることもありました。寮はシェアルームで、入寮してすぐに友達ができました。買い物をする場所やゴミの出し方、ジムや図書館などといった大学の施設のことも全部教えてくれて、たくさん助けてもらいました。
グループではなく1人で行ったので必要に迫られた部分もありますが、現地の人に自分から積極的に質問をしたり助けを求めたりできました。

――カナダの大学と日本の大学を比較して感じたことは?

グループワークでは、日本とカナダの違いを感じることができました。日本では2、3個意見を出して、少ない数の意見を発展させていく、というやり方を採ることが多いですが、カナダではまずブレインストーミングをしてたくさんの意見を出し、批判し合い削っていくという方法が採られていました。まったく正反対なやり方で、とても良い経験になりました。カナダの学生は批判的思考に長けています。対してアメリカや日本の学生は知識重視で、実際に議論をしてみると知識量の多さが際立ちます。アジアの国々に関する私の知識や意見は、カナダの学生にとっては新鮮であったようで、高い関心を持って聞いてもらえました。議論の場面では、「異なる意見があることを理解すること」と「異なる意見を受け入れること」の違いと難しさを実感しました。

――プログラムを通じて、プラスになったこと、変化したことは?

初めての場所や環境、不測の事態でも、冷静に判断、行動できるようになっていたことに気付けたことで、自信が持てるようになりました。天候が悪くフライトがキャンセルされた時も、今どうすればいいのか、次に何をすべきか、頭の中がとてもクリアでした。自分でも驚くほどに冷静に対応できて、自分の能力を測る良いきっかけになったと振り返っています。
自分の英語がどこまで通用するのか、最初は少し緊張しましたが「相手はネイティブスピーカーなのだから、間違った英語で話しても相手は理解してくれる。緊張する必要はない」と考えたら楽になりました。関西国際大学に入学してから、私が拙い日本語で話しても、先生方はいつも受け止め、理解してくださいました。その経験からそういう考えに至ったのだと思います。
カナダでは、自分のやりたいことを全部試してみました。以前から先生に勧めていただいていた難しい英語の本も読んでみました。挑戦をすることで、自分ができることが思っていた以上に増えていたことに気付けて、大きな自信になりました。

――あなたの考え方、将来の進路などにも、影響はありましたか。

シドニーのアントレプレナーシッププログラムで学んだ、新しいことへの挑戦を恐れないという姿勢や、成功に一歩一歩近づくためのテクニックを、カナダで実践できたと自分自身評価しています。
今後自分で起業をしようという気持ちは今の段階ではないのですが、スタートアップへの興味は高まりました。またアントレプレナーシップや英語だけでなく、他者を理解しようとする力も身につけてこられたと感じています。それらを活かして今は人材業界のベンチャー企業での就職を目指しています。多くの人が自分の持つ力に気付けるよう、そしてその力を活かす場所をみつけられるよう、お手伝いをしたいと思っています。補助金の支援でプログラムに参加させていただいたので、日本で就職して少しでも日本に恩返しができればと願っています。

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