教員紹介(社会学部 社会学科)

准教授

山本 晃輔 (Kousuke Yamamoto)

所属
社会学部 社会学科
専門

育社会学、ブラジル日本移民研究、マイノリティ教育、共生社会論

主な担当科目(学部)

サービスラーニング(神戸長田地区)、ソーシャルデザイン実践演習Ⅰ・Ⅱ、地域社会学、福祉社会論、社会階層と文化、地域文化論、多文化共生論

■ 現在の研究テーマ(または専門分野)とその専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

マイノリティとは少数を意味します。私の専門のひとつが、少数者のための教育です。

私は神戸出身です。高校生までは全く勉強ができず、関心さえありませんでした。高校を卒業してブラブラしていたとき、読書をすることの楽しさを知りました。世の中には様々な人生がある。そうしたことを深めるため、一念発起して大学へと進学、文化人類学を学びました。文化人類学とは世界の多様な文化を現場で身をもって学びます。読書を通じて、むしろ生身の人間を知りたくなったのです。

学部時代は現場へと出ていく「フィールドワーク」にのめり込みました。そしてジモトでフィールドワークをはじめ、日本にやってきた外国人の子どもに出会いました。かれらもまた、勉強が得意ではなくブラブラしていたのです。

彼らと関わりはじめ、自分の経験を振り返ることが多くありました。勉強がわからず、ただただ教室にいることがどれだけ苦痛であるか。周囲とのコミュニケーションの難しさに打ちのめされる辛さとはどういうことか。なるほど。私の経験と似ている。けれどかれらは「私以上のハンデ」を抱えている。本人が望んだわけでもなく日本にやってきて、言葉もわからず、生活経験もない。できないことばかりで、学校において辛い思いをしている。けれど誰も心配してはくれない。勉強ができないことは自己責任である、と。

学部時代から、私は神戸で外国人の子どもを支援するNPOでのボランティア活動に参与するようになりました。そして自分の無力さを痛感しました。お手伝いはできる。けれど、なぜ世の中がこれほど不平等なのかはわからない。ならば世の中をさらに知らなければならないと感じました。大学院へと進学、少数者にとっての「学校」について考えることになりました。それは、社会における「教育の意味」「学校の意味」を問うことに繋がっていきました。

■ プロフィール

先述の通り神戸出身です。東灘高校を卒業し、放浪期間を経て京都文教大学へ進学。大阪大学大学院を経てそのまま大阪大学の教員として働いていました。私は大学に来てはじめて勉強することの楽しさを学びました。そして現場に出て、世の中の「しんどさ」は自分が抱えているだけではないことを知りました。大学で「ぼーっと」していなくて、心底よかったことです。

■ 高校生へのメッセージ

学校は好きですか。私は嫌いでした。毎日学校に通うことがとても苦痛でした。先生が偉そうにしていることも腹立たしかったです。同級生と仲良くしなければならいことや、一部の生徒が偉そうにしていることもアホらしかったです。年間、どれだけの子どもが不登校状況にあり、心を痛めているか。それなら「学校なんていらんやろ」とさえ思っていました。

ですがいま、私は学校が重要だと考えるようになりました。学校現場に足を運び研究するなかで、考えが変わっていきました。

もちろん現在のままの学校で良いわけではありません。学校、あるいは教育には様々な課題があり、それを少しずつ変えていくことが「誰にとっても居心地のよい学校」をつくることに繋がります。であるならば、現在「学校が楽しい」と感じている人だけで「学校」や「教育」を議論していてはいけないのです。学校が嫌いだと感じる人も教育を学問することができます。その声を、学校へ届けることが次世代の学校を豊かなものにしていきます。

学校や教育を考えることは、学校の先生になることだけを意味しません。私たちの社会において学校や教育の意味を社会学的に問うこともできます。現在、学校が好きな人も、学校が嫌いな人も、「学校ってなんだろう?」と感じるならば、ぜひ一緒にその意味を考えましょう。社会学はそのための武器をたくさん与えてくれます。

■ 講演・取材など協力可能なテーマ

もっともお声掛けいただいているのは、外国人教育に関してです。教育委員会や学校での研修などにも対応しています。その他、ブラジルの日本移民や多文化共生、人権教育、マイノリティ教育に関わる講演や研修にも携わってきました。