危機管理に強い教員・保育士を目指して
これからの教育・保育のトップランナーをめざして
危機管理のスペシャリストに!
教員・保育士は、子どもの「命」を預かり「命」を守ることが求められる職業です。しかし、子どもたちの身の回りには、事件・事故・自然災害等様々な危機が潜んでいます。
教員・保育士は、子どもたちに「自分の命は自分で守る」意識、知識・技能を育てていかなければなりません。同時に、教員・保育士には、様々な危機に対応する資質・能力が求められます。教育環境に目を配り、生活の中に潜む危険を敏感に捉え、改善する力は当然必要な能力です。また自然災害が頻発する今日では、災害時の対応も必要です。救命救急法から避難所運営まで、様々な場面で教育関係者が中心となり動かざるを得ない状況も想定されます。
関西国際大学では、危機管理に強い教員・保育士養成を行っています。学生の危機意識を高め、危機管理のスペシャリストを育てるプログラムを準備しています。代表的な取組として「普通救命士講習」の受講と「防災士」の資格取得があります。
防災士とは?
防災士とは「自助」「共助」「協働」を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したしたことを、日本防災士機構(特定非営利活動法人)が認証した人たちです。2003年10月防災士第1号が誕生して以来、2022年8月末日までに、全国で235,437名の防災士が認証されています。また、防災士講座と同時に受講する救命士講習では、心肺蘇生法やAEDの使用方法の体験をします。
安全・安心な社会づくりに貢献できる人材育成に取り組む本学で、2021年度春学期をもって学生防災士養成累計1,000名を達成いたしました2016年度に企業協力講座として「防災入門」を開講して以来、約5年での達成です。
自然災害に強い実践的な教員を目指して
特別研究Ⅱ「防災教育演習」の取組から




2022年度秋学期から「特別研究Ⅱ 防災教育演習」が開講しました。
日本は、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの地震・大型台風接近による豪雨災害などが多発しています。また近い将来、南海トラフ巨大地震の発生も予想されており、世界的にも先進的な防災・減災対策、被災地の復興施策が展開されてきました。
防災教育演習では、災害の教訓伝承としての防災教育に注目し、学校園・施設での避難訓練・自然災害発災時の避難所設営・運営を実践的に学んでいきたいと考えています。また、演習のまとめとして、小学校での防災出前授業及び地域防災の実際としての地域総合防災訓練の参加も計画します。
まずは、小学校の避難訓練案作成に取り組みました。大地震が授業中に発生したら、教師はどのようにして子どもたちと教師自身の命を守り、安全に避難行動をとるのか、シミュレーションを行いました。実際にロールプレイすることで、考えていた動きに矛盾や不足が生じます。
- 実際の大地震では「机の下にもぐる。頭を守る」動きができない子どもも多いと思う。教師の指示が絶対に必要。
- 子どもたちの不安を取り除くためには、揺れている最中に教師の安心させる声かけが必要。しかし、実際自分自身が落ち着いて対応できるか不安。
- 児童の人数確認が大切。現場ではパソコン上で出席確認をしているが、地震発災時に利用できる紙ベースの名簿が必要だと感じた。
- もしも、けがをした児童がいたら、近くにあるものを利用した応急手当ができるか不安。
- 避難訓練は児童の訓練ではなく、教師のための訓練だという事を実感した。
等の声が聞かれました。教員の視点で自然災害発災時の避難について考えをめぐらす姿が見られました。
避難訓練案の修正や実際に模擬避難訓練を行うことで、より具体的な改善をすべき点をみつけることができた。避難訓練を行うことの重要性はもちろんだが、訓練のまとめやふりかえり、評価を行うことで、次の訓練の課題や伸ばせるところをみつけ改善していけるのだと感じた。実際に自分もロールプレイで学級担任役をしたが、子どもたちへの伝え方、移動の仕方、声かけなど工夫しなければならないことも多く勉強になった。 《「避難訓練案作成」ふりかえりより》
「防災教育演習」の学修を経験しないで今回の防災マニュアルを見ても、問題点や改善すべき課題には気付くことはなかったと思う。前回HUG(避難所運営ゲーム)をし、悩んだり困ったりした経験があるからこそ気付きがたくさんあった。自然災害発災時の教職員の第一義的役割は、子どもの安全確保と教育活動の早期正常化である。避難所運営マニュアルを作る際に学校再開の基準や学校再開のマニュアルをつくる必要があると考えた。《「避難所運営と学校再開」ふりかえりより》
防災教育演習は今後、避難所運営と学校再開、防災・減災学習出前授業と実践的な学習に取り組んでいきます。
在学生・卒業生の声
<在学生の声> 子どもたちの命を守りたい ~「防災士」への想い~

地元高知県の小学校教員を目指しています。高知県には南海トラフ巨大地震で、30mを超す大津波の到来が予想されてる地域もあり「ふるさと高知の子どもたちの命を守りたい」そのような想いから防災教育に対する関心も高まってきました。卒業研究でも「防災教育」をテーマにした研究に着手しています。小学校教育実習の場を活用し、先生方や子どもたちに防災についての意識調査もしました。
私にとって防災士資格は、教師になるうえで必要不可欠な資格です。防災士養成講座で得た知識・技能を生かした、防災教育を高知県で取り組んでみたいです。「防災教育」を通して、高知県教育に貢献できる教員になります。
2020年度 防災士養成講座受講者
<卒業生対談> 教育×防災士 ~その学びは、いつか誰かの命に変わる~

尼崎市立小学校教諭 細見 駿斗さん
(2021年度教育学部卒業)

神戸市立小学校教諭 上之原 勇紀さん
(2021年度教育学部卒業)
お二人は2021年に教育学部を卒業された同期ですが、そもそもなぜ大学で「安全・安心」や防災教育を学ぼうと思ったのですか?
●上之原勇紀さん(以下、上之原)
私は高校生の頃から小学校教諭を目指していたのですが、単に勉強を教えるだけでなく「子どもたちが安心して教育を受けられる環境」をどう整えるか、という視点に興味があったのがきっかけです 。大学では防災士の講義や海外研修プログラム(グローバルスタディ)で学びを深めました 。
●細見駿斗さん(以下、細見)
私のきっかけは、大学1年生の時に経験した大阪北部地震です 。通学中の電車内に閉じ込められ、パニックになる周囲の状況を目の当たりにして「災害は決して他人事ではない」と痛感しました 。「自分のため、誰かのためにできることをしたい」という思いが原動力でしたね 。
実際に現場に出てから、防災士としての学びが「意外な瞬間」に役立ったことはありますか?
上之原:水泳指導の研修で「救急法」の訓練をした時、体が自然に動いたんです 。同僚の先生方から「初動が速い」と驚かれた時は、防災士取得の過程で学んだことが体に染み付いているんだなと実感して嬉しかったです 。
細見:私も似た経験があります 。プライベートで友人といた時に、目の前でおばあさんが熱中症で倒れられたんです 。日頃から「いつ何が起きるかわからない」という備えの意識があったからこそ、迷わずすぐに行動に移せました 。あの学びがなければ、あんなに素早くは動けなかったかもしれません 。
上之原:意識の差は大きいですよね。私は1.17の震災学習で全校児童の前で「語り部」も務めましたが、震災を経験していない世代の教員が増える今、私たちが伝えていく役割は大きいと感じています 。
日々の授業の中で、子どもたちにはどのようなメッセージを伝えていますか?
細見:私は「知ること・考えることが、防災の第一歩」だと伝えています 。一方的に話すのではなく、資料を見て自分たちで考える活動を大切にしていますが、子どもたちの自由な発想にはいつも驚かされます 。その思考が、いざという時に彼らの命を救う力になってほしいんです 。
上之原:同感です。私は「今、自分にできることは何か」を考えられる人になってほしいと伝えています 。一人ひとりが普段から備える意識を持つことこそが、最大の防災・減災になりますから 。私自身のモットーも「できるときに、できる人が、できることをする」なんです 。
最後に、防災士取得を迷っている後輩たちへエールをお願いします。
上之原:私は「迷ったら、まずは一度やってみる」ことにしています 。学生時代の学びはすべて人生の財産になりますし、その小さな一歩が、のちに大きな力になります 。
細見:知識や経験が浅いと感じている人にこそ、挑戦してほしいですね 。勉強を始めることでニュースへの感度も上がり、世界の見え方が変わります 。悩んでいる時点で、あなたはすでに素晴らしい一歩を踏み出していますよ 。