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"学生支援型IR"のあゆみ

関西国際大学の教育力のさらなる進化へ
一人ひとりの力を引き出し、伸ばす"学生支援型 I R"最前線 先駆的な取り組みの今までとこれから

データを活用した教育改革が2000年代の大きなトレンドに

データを活用した教育改革が2000年代の大きなトレンドに

 データを駆使して、大学教育を充実させていく――。
 近年、大学におけるIR(インスティテューショナル・リサーチ)が注目され、多くの大学でIR部門の設置が進んでいます。 アメリカでは1960年代から普及してきた考え方ですが、日本で広く知られるようになったのは2000年代に入ってからのこと。 特に、2002年の学校教育法の改正で、大学が自らの目的・目標に合致した教育研究活動を実践できているかどうかを自己点検・評価すると同時に、外部評価を受けることが義務づけられたことが普及の大きなきっかけになりました。

 その後、2008年には中央教育審議会が大学教育の改善案を文部科学大臣に答申(学士力答申)。 この中で、各大学が学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)や、それを実現するための教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、資質のある人物を選抜するための入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の3つの方針の明確化が求められるようになりました。 大学で学んだ成果をより正確に把握することが求められ、日本におけるIRの普及が大きく進むことになります。 本来IRといえば、データを活用した大学経営戦略の意思決定までを含む広い概念でしたが、このような経緯から、日本においては教育活動の質の向上に力点を置いて進められてきたといえます。

学生支援型IRの先駆者として12年にわたって実績を蓄積

 関西国際大学ではこれまで、このような流れに先んじてIR活動に取り組んできました。2004年に高等教育研究開発センターの下部組織として「評価室」が設置され、いち早くデータを活用した自己評価の取り組みを始めたのもそのひとつです。

 また、1998年の開学と同時に、全国初の「学習支援センター(現在は学修支援センター)」を設置し、学生の学びをサポートする体制を整備。その後も、初年次教育のためのプログラムの開発、ポートフォリオの導入、学びの達成度を確認できるベンチマークの整備など、PDCAを回しながら学生の力を着実に高められる仕組みづくりに先駆的に取り組んできました。IRのデータは、学生一人ひとりをきめ細かく指導するために活用するとともに、全学的な教育プログラムの改善にもフィードバックしています。

 このような関西国際大学が独自に進化させてきた「学生支援型IR」の蓄積を生かし、2012年には、本学が代表校として、淑徳大学、北陸学院大学、くらしき作陽大学と連携した「主体的な学びのための教学マネジメントシステムの構築」への取り組みをスタート。文部科学省の大学間連携共同教育推進事業の選定を受けて、教育プログラムの充実や、学修成果の評価方法の開発などに取り組み、成果を挙げています。2013年には「大学IRコンソーシアム」(全国41大学〈2015年度末現在〉)に加盟し、さらに他大学との連携を広げています。

 学生支援型IRの先駆者として約12年間にわたる実践経験をもとに、さらに未来へ。関西国際大学は、これからも新たな取り組みにチャレンジし続けていきます。

Keywords

■IR(InstitutionalResearch)

大学内のさまざまな情報を収集・分析し、教育や研究、学生支援、大学経営などに活用すること。 アメリカで1960年代に生まれて普及。 現在では日本でも多くの大学がこの考え方を取り入れて、専門部門を設けている。

■ポートフォリオ

学習の記録や成果、目標などを書き込んでいく記録ファイル。 クを通じて成長を確認しながら前進できるようになっている。 2007年からは電子化され「e-ポートフォリオ」に進化した。

■ルーブリック

学習到達度を可視化するために、表形式で評価基準を示したもの。 学生が目標に対してどこまで到達したかを具体的に判断することができる。

■リフレクション・デイ

半期に1度、学科目標の到達度について振り返りを行い、学生1人ひとりが改善点を明らかにする日。

■KUISs学修ベンチマーク

学生が身につけるべき能力を示したもの。5つの大きな目標とそれを達成するために必要な能力で構成されており、これらのチェックを通じて成長を確認しながら前進できるようになっている。
[5つの大項目]
・自律できる人間になる
・社会に貢献できる人間になる
・心豊かな世界市民になる
・問題解決能力を身につける
・コミュニケーション能力を身につける