学長室

202301.20
学長室

阪神・淡路大震災から28年にあたって

1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生しました。戦後初の大都市直下型地震は、関連死を含め6,434人の命を奪い、住まいや仕事など暮らしの土台を崩壊させました。あの日から2023年1月17日で28年目を迎えます。学生の皆さんが生まれる前の出来事であり、社会においても記憶は希薄化してきているようです。

コロナ禍はすでに4年目となり、国内や世界中で多くの人命が失われ続けていますが、一瞬にして多くの方々の命がこの地で失われた悲劇を過去のこととして忘れ去ることはできません。改めて「安全・安心」が当り前のものではないことを考えてみましょう。

次なる巨大地震とされる南海トラフ地震が近い将来に起こることは確実視されており、28年前に比べ災害リスクは上がっているとも言われています。

兵庫県を中心に「震災を風化させない-『忘れない』『伝える』『活かす』『備える』」を基本コンセプトとし、大震災の経験と教訓を広く発信し、次の大災害への備えや対策の充実につながる事業が展開されています。

本学では、防災教育に力を入れ全ての学部で防災士資格の取得が可能です。関西の大学で最多の防災士を輩出していますが、すべての学生・教職員がさらに防災意識を高めていかなければなりません。防災の基本は"命を守る"こと、そして災害に立ち向かう力とは"他人を思いやる力"であります。

本学の建学の精神である「以愛為園」は、人に対する思いやりや受け容れる姿勢、つまり他人の痛みや喜びに対する感性とそれを自ら行動に移すことができることでもあります。"安全・安心"は全世界の人が求める共通の価値です。この価値の実現のため、人と人とのつながりを大切にする社会の実現に取り組んでいくという決意を、皆さんと共に新たにしたいと思います。

最後に、改めて阪神・淡路大震災で亡くなられた皆様の鎮魂を心よりお祈りいたします。

2023年1月17日
学長 濱名 篤

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