心理学部 心理学科
災害心理学専攻

多種多様な災害への対応を学び
高度な危機管理能力と臨機応変な対応力を身につける

災害という極度のストレスがかかった時、人はどのような影響を受け、どのように行動をするのか。どのような影響を受けるのか。社会はどうなるのか。回復・復興には何が必要なのか。有効な支援は何か。こうした問いへの答えを学びます。災害心理学の知見は、自然災害だけでなく、人的災害やハラスメントなど、事件・事故・対人関係などによる強いストレス場面全般に応用が可能です。今もっとも求められる安全安心の実現をめざして危機の回避法や臨機応変な対応力など、高い危機管理能力を学びます。

めざす進路

  • 消防士
  • 自衛官
  • 警察官
  • 地方自治体職員(一般行政職)
  • 企業(総務、危機管理対策部門、セキュリティ・防災関連業種)
  • 大学院進学

めざす資格・免許

  • 認定心理士
  • 認定心理士(心理調査)
  • 防災士
  • 中学校教諭一種免許状(社会)
  • 高等学校教諭一種免許状(公民)

学びの特色

1
防災士資格の取得など理論と実務を融合

災害や危機への対応では、理論と実践を一体化させた対応が不可欠です。「災害心理学」「環境心理学」などで学ぶ理論と「コミュニティ防災」「セーフティマネジメント論」「地域防災減災論」などで学ぶ現場の実際とを融合させ、理解を深めます。救命技術の習得や防災士資格の取得など、命を救うスキルも学んでいきます。

2
豊富な経験学習を通して防災・減災を学ぶ

阪神・淡路大震災を経験した兵庫県は、高い防災意識を持ち、様々な災害対策を行っています。本専攻では、地域と連携した経験学習プログラムを数多く用意。グローバルスタディでは、海外の防災や危機管理を学ぶ機会もあります。日常的に防災訓練に参加しているような感覚で、防災・減災を深く学べます。

3
時代に求められる危機管理の専門家へ

災害からの復興は、電気や水道、道路や建物などハード面の復興以上に、被災した人々の心の復興・立ち直りが重要です。災害心理学は比較的新しい学問分野ですが、災害大国である日本にとって非常に重要なものと考えられます。大切な人の心と体を守る方法を学び、次代に求められる危機管理のエキスパートをめざします。

授業紹介

災害心理学
災害の種類と特徴を学び、被災者の心理的問題対処を考える

災害には多くの種類があり、発生前から発生後の経過も複雑かつ多種多様です。この講義では、最初に災害心理学が扱う問題の全体像を把握。災害の種類と特徴について学び、これまで社会はどのように災害と向き合って来たかを考えます。また災害発生時の心理、発生後の心理について学び、被災者、被害者、援助者の心理的問題への対処法について理解を深めていきます。

復興論
事例をもとに、災害からの復興の計画立案や実施方法などを考える

大きな災害が発生した際の復興にまつわる政策的諸課題について考えます。阪神・淡路大震災などの具体的事例から、大災害が被災地域に及ぼした社会・経済的影響、政府や法制度の問題、その後の地域社会・経済の状況等について学びます。その上で、あるべき復興の姿や必要な法整備、復興計画の立て方、実施方法などについて、多角的に学んでいきます。

災害と安全(危機管理)
災害の種類や内容を理解し、対応力と解決力を高める

災害とはそもそも何なのか、どのような災害が身の回りで起こりうるのかを、まずは考えます。そして私たち人間は災害に遭遇した際にどう認識し行動する傾向があるのか、災害時の心理的特性を考えます。さらに災害による心理的ダメージや被災者の心のケアの問題を取り上げ、どのような対応・対策が可能なのかを考察。危機対応力、問題解決力を高めることをめざします。

担当教員の声

災害心理学の知識は「生きる力」。
学ぶことで安全安心を実現できます

災害は、決して遠い出来事ではありません。私たちは地震国日本に住み、地球温暖化や気候変動による豪雨や高温被害にさらされ、大規模交通災害や原子力災害、サイバーテロなどの危険の中で暮らしています。コロナのパンデミックのように、まったく予期せぬ災害も日常のすぐ隣にあります。このような環境で、自分とその大切な人を守ることを人任せにして大丈夫でしょうか。安全・安心は、人から与えられるものではありません。これは、学ぶことで獲得し、備えることができるものなのです。災害心理学の知識は「生きる力」であり、それを身につけた人は社会の財産と言えるでしょう。4年間の学びの中で、ぜひこの「生きる力」を身につけてください。

道免 逸子 教授

●災害心理学 ●心理学的支援法 ●関係行政論 ●健康・医療心理学 ●公認心理師の職責 ●セーフティマネジメント論

[経歴]精神科救急実施の地域拠点精神科病院での経験から、PTSDの認知行動療法であるナラティヴ・エクスポージャー・セラピーを研究。その後、兵庫県こころのケアセンターにて、災害後のPTSDとサバイバーギルトを研究。サイコロジカルファーストエイド、DPAT、トラウマインフォームドケアの研修を積み、PTSDと複雑性悲嘆を中心に臨床を行う。2020年4月、本学に着任。
[著書]『子供が学校にいきたくなくなったとき読む本(翻訳)』等