
看護学科コラム
【看護学科】『 リラクセーション法 』
看護の仕事は感情労働と言われています。そのため患者様へのケアを実践するにあたっては、看護師自身のこころの安定を保っておく必要があります。こころの安定を図る方法は様々ありますが、今回はリラクセーション法の一つである自律訓練法の紹介をしたいと思います。
自律訓練法とは、ドイツのJ.H.シュルツが考案したリラクセーション法です。自己暗示をかけ、全身をリラックス状態にして気分の安定を図ることができます。
方法は次の通りです。
まず、落ち着ける環境で椅子に腰掛けるか、横になってください。最初のうちは横になってもらった方が良いでしょう。
横になって軽く深呼吸をし、気分を和らげた状態で、両腕両足が重たいと意識して力を抜いてください。初めてのときは、右腕、左腕、右足、左足と順番に進めても良いです。次に、重くなった両腕両足が、温かく感じてくると唱えてください。繰り返し唱えてみましょう。あたたかく感じてくると、この時点で脈拍数や呼吸数が減少していると思います。この段階で終了し、最後の消去動作に移ってもいいです。
時間があるときはさらに次の公式に進み、「心臓が静かに規則正しく打っている。」、次に「楽に呼吸している。」と唱えてみてください。
その後の第5公式は腹部温感練習です。中枢神経活動への鎮静効果が期待できます。「お腹があたたかい。」と唱えてください。おなかに手をあてながら行うのもいいです。お腹があたたかくなってきたら、第6公式の額部涼感練習となります。
今度は額が涼しくなったと唱えてみましょう。心地よい風が当たっているとイメージしてみてください。ここまでが一連の流れとなりますが、最後に大事な動作があります。消去動作です。身体を伸ばし、両手両足を軽く動かし元に戻してください。この消去動作は、弛緩した筋肉を元に戻すために必要な作業となります。
【表 自律訓練法の流れ】
背景公式(安静練習) | 「気持ちがとても落ち着いている。」 |
第1公式(四肢重感練習) | 「両腕両足が重たい。」 |
第2公式(四肢温感練習) | 「両腕両足があたたかい。」 |
第3公式(心臓調整練習) | 「心臓が静かに規則正しく打っている。」 |
第4公式(呼吸調整練習) | 「楽に呼吸している。」 |
第5公式(腹部温感練習) | 「お腹があたたかい。」 |
第6公式(額部涼感練習) | 「額が心地よくて涼しい。」 |
消去動作 | 身体を動かして元に戻しましょう。 |
以上が自律訓練法の流れです。慣れてくると短時間でリラックス状態を得ることができます。
本学保健医療学部の精神看護学の授業では、このようなリラクセーション法を色々取り入れています。患者様にケアを実践するための知識や技術に加え、自身のこころの健康を保つことのできる看護師の育成を心がけています。