
観光学科ニュース
【観光学科】最後の扉
東京オリンピックが終わった。
メダルを目指して戦いを終えた今、様々なドラマがコロナ渦の日本や世界の人々にひと時の勇気や感動を与えたことは間違いない。
沖縄県出身者として初めて金メダリストとなった喜友名選手は試合後「夢を追いかけ続ければ達成できるということを知ってもらえた」と声を震わせた。
3位決定戦で敗れたサッカー日本代表の久保選手は「結果手ぶらで自分の家に帰ることになります。今までサッカーをやってきて、こんな悔しいことはないし、この気持ちを忘れないようにできれば」と語り涙を流した。
負けて流す涙と勝って流す涙、そのいずれからも感動をもらえたのは人々が不安の中でも希望への光を欲しているからであろう。
選手村と会場を往復するだけに行動を制限された選手にメッセージボード掲げる市民や、事前キャンプ地での子供たちと選手の交流の様子は、言語を超えたコミュニケーションが人々に感動を与えることを気づかせてくれた。
インターネットでつながった世界に恐怖や偏見が広がったのと同様に、東京オリンピックの16日間で創造された感動はインターネットを通じて指数関数的に世界に拡散し人々の心を一つにしてくれたかもしれない。
何かを手に入れようとすれば痛みを伴う。逆に手に入れようとしなければ痛みを伴わない。
スポーツの勝負だけでなく、学生にとっては受験、就活、勉学、恋愛を含めて欲しい結果を掴むためにはいくつもの扉を開ける必要がある。求めるものが高い位置にあればあるほど「最後の扉」は簡単には開かない。でもその扉はたった一人にはいつも開いてくれる不思議な扉だ。
今、観光産業が開けようとしている扉は固く閉まっている。ワクチンパスポートと呼ばれるシステムが機能しても人々が他人との接触の恐怖に打ち勝つには笑顔で観光を楽しむ人々の行動が必要である。観光は平和のパスポートであるという国連のモットーが蘇る。
観光は心が感染した人々の中にある最後の扉を開けるために必要なワクチンだ。平和の祭典であるオリンピックが教えてくれた。


国際コミュニケーション学部 観光学科 小山 聖治
⇒ 国際コミュニケーション学部 観光学科ページ