
グローバルコミュニケーション学科コラム
【Gコミ学科】リスニング力をつけるには:その2
前回、英語のリスニングの難しさについて述べましたが、今回は多くの学習者が犯す誤りとその対応について説明します。
英語のリスニングが不得意な人には、原因があります。それは、英語を聞きながら、日本語に訳そうとすることです。これは、特別な訓練を受け高度な能力を持った「同時通訳者」でなければできません。英語を頭の中で訳している間に、英語はドンドン先へ行ってしまい、置き去りにされてしまい、永遠に分からなくなります。しかも、音は直ぐに消えてしまいます。
つまり、日本語に訳すことを止めないと、聞いて理解することはできないということです。なぜ、訳そうとするのでしょうか?それは、日頃の英語学習(あるいは授業)で、英文を和訳する作業をたくさん受けてきた弊害が出ています。日本語と英語は語順の違いという決定的な相違があり、後戻りをしなければ、日本語には訳せません。文字に書かれた英文は、ずっと目の前にあるので、後戻りをしながら時間をかけて訳することはできますが、リスニングはどうでしょうか?音は発せられた瞬間に消えてしまうので、後戻りの暇が与えられませんし、戻る所もありません。
日頃の学習においても、読解では英語は書かれた順に理解する、聴解では聞こえてきた順に理解する、という習慣を身につける必要があります。リーディングでは、意味単位に斜線(slash)を入れて、その単位毎に順に理解し、後戻りしない練習をします。意味のつながりとしては日本語と少し異なりますが、順に前に進んでいけば意味理解は可能です。リスニングにおいても、同じように「意味単位で理解する」練習をしなければ対応できません。
リスニング力の向上で重要な練習をまとめると、以下の6つになります。おそらく、2.を克服することが、最も難しいと思われます。
- 重要な語を中心につないで意味を理解する練習
名詞・動詞・形容詞・副詞・疑問詞・数詞などは強勢が置かれハッキリ聞こえる。 - 弱形の聞き取りを集中トレーニングする+それを発音して、弱形の音を頭に入れておく
英語は音声変化する:弱形・脱落:and /ən, n/, her /ər/, 連結:an apple /ənæpl/, in English / ɪnɪnŋɡlɪʃ/
この段階ですることは、ディクテーションすること→聞いて口頭で繰り返す・文字で書き取る。 - 前から順に、聞こえてきた単位毎に内容理解を練習する(=区切ること・後戻りしないことの習慣化)
音声を編集し適切な箇所にポーズを入れると、速度は速くても理解できるようになる。 - 決して和訳せず、概要をイメージとして捉える練習をする
- 聞いた内容の概要を、英語または日本語で言えるようにする(=大意把握)
- 細かな部分まで理解する練習
音声のみの英語を聞く。分からない箇所はスクリプトで確認する。(映像は理解の助けになるが、リスニングの練習には邪魔になる)