社会学科コラム

昨年から、遠隔授業だけではなく、頻繁にZOOMを利用するようになりましたが、マナー講師が著書に書いた「ZOOMのマナー」が一部で話題になりました。

それによると「会議の開始の５分前にはルームに入りましょう。終わるときは深々と頭を下げながら会議終了ボタンを押す。お客様より先に退出してはいけません」（西出ひろ子『超基本 テレワークマナーの教科書』あさ出版) 。

「深々と頭を下げながら会議終了ボタンを押す」あたりが、反感を買った理由かもしれません。そもそも深々と頭を下げたら、ZOOMの退出ボタンがどこにあるか見えなくなりそうです。

社会で通用しているものをマナーと呼ぶとしたら、マナー講師が独自に考案したものが「マナー」なのかどうか疑問ですが、「マナー講師」の唱える「マナー」が、どちらかというと既存の上下関係を強化する方向にあるのは興味深いことだと思います。この辺りに、情報技術の発展と生活や人間関係の変化について、考えるための手がかりがあるのかもしれません。

昨年はZOOMに「カスタムギャラリービュー」という機能が追加されました。これは画面に表示される順番を変更できる機能で、上司を上に置いたりできるため、通称「上座機能」といわれています。またこれも昨年、シャチハタの電子印鑑で「お辞儀印」（上司に向けて印鑑を傾ける）ができるようになったそうです。

現代社会学部 総合社会学科　加藤 恵介
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