
カナダ政府の奨学金を受給し、2024年度春学期にバンクーバーアイランド大学(VIU)へ留学したNhoさん
今回カナダのバンクーバーアイランド大学(以下、VIU)でのプログラムに参加した理由は何ですか。
2年生の秋学期にレポートを作成した時、歴史と哲学に興味を持ちました。VIUは歴史と文学の研究で有名です。しかし、コスト面での問題、また3年生の終わりというタイミングで参加することへの不安とリスクも感じていたので、最初は参加を考えていませんでした。アドバイザーの先生方から勧めていただき、プログラムへの参加を決意しました。
まずは、UMAP※に属しているバンクーバーにあるコミュニティカレッジについて調べましたが、留学期間が折り合わなかったこともあり、先述した歴史と文学の研究で名高いVIUに決めました。
※UMAP(ユーマップ):University Mobility in Asia and the Pacific の略称でアジア太平洋地域における高等教育機関間の学生・教職員の交流促進を目的として1991年(平成3年)に発足した政府および非政府の代表からなるコンソーシアム。UMAP加盟国・地域の複数の大学(UMAP参加大学)間への交換留学が可能。(https://www.kuins.ac.jp/international/umap.html)



キャンパスライフ、寮での生活はどうでしたか。
到着して最初の1週間程度は時差ボケもあり、なかなか普段の調子が出なかったのですが、先生方も友達も皆とても親切で話しやすかったです。授業でも隣の席の人がすぐに話かけてくれて、それまでの授業の内容や進度など、親身に相談にのってくれました。
カナダの人は皆本当に親しみやすく、ベトナムに帰ったような気分になることもありました。寮はシェアルームで、入寮してすぐに5人の友達ができました。買い物をする場所やゴミの出し方、ジムや図書館などといった大学の施設のことも全部教えてくれて、たくさん助けてもらいました。
グループではなく1人で行ったので必要に迫られた部分もありますが、現地の人に自分から積極的に質問をしたり助けを求めたりできました。
勉強面ではどうでしたか?
本格的なアカデミックレベルの英語なので難易度は高かったです。特に最初の1か月は難しさを感じましたが、授業内容は日本の大学で既に学習したコンテンツが多かったこともあり、独特な表現方法やフレーズを習得した後は、スムーズに学習することができました。
カナダの大学と日本の大学での経験を比較して感じたことは?
日本の大学では、先生方と学生の間に壁を感じ、質問をしにくいことがあります。カナダでは先生方も学生も皆気さくで、いつでも気軽にどんな話でもできました。
グループワークでは、日本とカナダの違いを感じることができました。日本では2、3個意見を出して、その少ない数の意見を発展させていく、というやり方を採ることが多いですが、カナダではまずブレインストーミングをしてたくさんの意見を出し、批判し合い削っていくという方法が採られていました。まったく正反対なやり方で、とても良い経験になりました。
台湾で高校に通いVIUに進学したという台湾出身の学生に寮で出会い、アジアとカナダの教育システムの違いについて一緒に話す機会にも恵まれました。どちらにも当然良いところも悪いところもあります。カナダの学生は批判的思考に長けています。対してアメリカや日本の学生は知識重視で、実際に議論をしてみると知識量の多さが際立ちます。日本・ベトナム・中国・ロシアなどに関する私の知識や意見は、カナダの学生にとっては新鮮であったようで、興味を持って聞いてもらえました。議論の場面では、「異なる意見があることを理解すること」と「異なる意見を受け入れること」の違いと難しさを実感しました。
4か月という期間はどうでしたか?
毎週末開催の1回2ドルで参加できる大学のハイキングプログラムに参加しましたが、もし6か月くらい滞在できていたら、現地の様々な課外プログラムに参加し、もっと色々な体験ができていたかと思うと少し残念です。
プログラムを通して、プラスになったこと、変化したことは?
初めての場所や環境、不測の事態でも、動じずに冷静に判断、行動できるようになっていたことに気付けたことで、自信が持てるようになりました。天候が悪くフライトがキャンセルされた時も、今どうすればいいのか、次に何をすべきか、頭の中がとてもクリアでした。自分でも驚くほどに冷静に対応できて、自分の能力を測る良いきっかけになったと振り返っています。
自分の英語がどこまで通用するのか、最初は少し緊張しましたが「相手はネイティブスピーカーなのだから、間違った英語で話しても相手は理解してくれる。緊張する必要はない」と考えたら楽になりました。関西国際大学に入学してから、私が拙い日本語で話しても、先生方はいつも受け止め、理解してくださいました。その経験からそういう考えに至ったのだと思います。
カナダでは、自分のやりたいことを全部試してみました。以前から先生に勧めていただいていた難しい英語の本も読んでみました。挑戦をすることで、自分が思っていた以上に、自分ができることが増えていたことに気がつき、大きな自信になりました。
あなたの考え方、将来の進路などにも、影響はありましたか?
2023年に参加した本学の世界展開力シドニー派遣プログラムで習ったことをカナダで応用できたと感じています。シドニーのアントレプレナーシッププログラムで学んだ、新しいことへの挑戦を恐れないという姿勢や成功に一歩一歩近づくためのテクニックを、カナダで実践できたと自分自身評価しています。
今後自分で起業をしようという気持ちは今の段階ではないのですが、スタートアップへの興味は高まりました。またアントレプレナーシップや英語だけでなく、他者を理解しようとする力も身につけてこられたと感じています。それらを活かして今は人材業界のベンチャー企業での就職を目指しています。多くの人が自分の持つ力に気付けるよう、そしてその力を活かす場所が見つけられるようお手伝いをしたいと願っています。就職が決まったら、最低でも5年から10年は頑張っていきたいと思います。留学における多くの費用を奨学金の支援で参加することができたので、税金を納付して少しでも恩返しがしたいです。