看護学科コラム

202007.10
看護学科コラム

【看護学科】『 在宅看取りについて -現役看護師の漫画家が描く訪問看護師の魅力 - 』

不老不死の薬が完成されない限り、人間誰しもいつかは「死」を迎えます。皆さんにとってはまだまだ遠い遠い先の話になりますが、「最期を迎えたい場所」はどこですか?
現在、多くの人が住み慣れた自宅で最期を迎えたいと希望する反面、現実は病院で多くの人が亡くなっています。自宅で最期を・・・その希望を叶えるため、訪問看護師は、療養者のご自宅に訪問し、望む場所で最期まで自分らしく生活できるように、療養者やご家族の支援を行っています。
そんな訪問看護師の活動や看取りを題材に書いた『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』という漫画が注目を浴びているので、紹介したいと思います。
私のママ友でもある広田奈都美(ひろた・なつみ)さんは漫画家として独立する前は、総合病院の看護師でした。また子育てしながら訪問看護師として活躍していました。その体験や人脈を生かして訪問看護や在宅医療の現場を訪問し、漫画を描かれています。


この『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』には、実際に在宅看取りを選択した家族や訪問看護師の本音も盛り込んであります。親一人子一人の二人暮らしで子が親を看取るケースや、夫に末期がんが見つかり突然の余命宣告で金銭的不安に陥る二児の母など、それぞれが現実を受け入れ「理想の看取り」を見つけ、どう家族が寄り添っていくかを一話完結型でつづっています。
私も読みながらほろりと涙がこぼれ、訪問看護師ってやっぱり素敵な仕事!と再認識しました。

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広田さんは療養者やご家族の取材を通し、「現実は家族に悪い、迷惑をかけたくないと在宅死をあきらめる人が多い」ことを知りましたが、「在宅で十分な世話ができるか心配だったが、医師や訪問看護師との連携で不安は解消された」「住み慣れた土地、自宅で穏やかな最後を迎えられた。家族としても悔いがない」などたくさんの話から感銘を受け、漫画や講演活動で在宅看取りの魅力を地域の方に伝えています。

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またこの本には、訪問看護師の役割も丁寧に描かれ、いざというときに役立つ介護支援サービスや医療保険・介護保険の豆知識もあり、漫画を楽しみながら学べます。

広田さんは「医師と違い医療行為に限界はあるが、親身になって話し相手になり、心をこめた看護で療養者の苦しみを和らげ、家族の負担も軽減できる訪問看護師の役割を知ってほしい」という思いを熱く語ってくれました。
広田さんが、同じ訪問看護師の体験を描いた「ナースのチカラ」第1巻、第2巻を本学の図書館に寄贈してくださるので、皆さん是非読んで、在宅看護の魅力を知ってください。

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【保健医療学部 看護学科 今福 恵子 准教授】

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