心理学科ニュース

202210.21
心理学科ニュース

【心理学部】高校生からの少年犯罪に関する質問に対して、犯罪心理学専攻の教授がオンラインで回答

大阪市の四條畷学園高等学校から、本学の高大連携センターに対して下記のような質問が寄せられたので、心理学部犯罪心理学専攻の中山教授が書面で回答しました。その後、さらにオンラインによる調査の申し込みがあったので、10月12日午後、zoomで回答しました。

1. 調査に至る経過と目的

本校(四條畷学園高等学校)では、探究授業の一環として生徒がチームに分かれて様々な事柄を調べ、解決策を考えている。今回は2年生4人組が「少年犯罪の予防策」の研究のため警察署を訪問して話を聞いたが、犯罪心理学の理論的な観点から犯罪予防について専門家の意見を聞きたい。

2. 調査事項(抜粋)

  1. 少年犯罪を中心に犯罪発生の原因や背景について
  2. 犯罪者となりやすい性格傾向はあるか
  3. 少年犯罪の予防について

3. 書面及びオンラインでの回答

  1. 小学生の場合は、家庭環境(親が子どもの面倒を見ないネグレクト、食べ物を与えない、自分のまわりに話相手がいない)が原因として多く挙げられ、中学生の非行には、交友関係(友達に非行化した仲間がいる)に問題がある場合が多い。因みに、少年院に入ってくる少年のほとんどは、虐待経験を有しているといわれています。
  2. 犯罪の中でも、窃盗犯や強盗犯に共通するパーソナリティ傾向というのはあります。特に、欲望を抑えられないという意味で「低自己統制」と「衝動的行動」が挙げられます。セルフコントロールができないというのは、いつまでも子どものように自己中心的、あるいは情緒不安定で、自分は怠惰で努力することを嫌い、他者に対して冷酷・攻撃的で、長期的目標をもたず、無責任で快楽主義的というのが特徴。
  3. 犯罪の予防としては、学校の先生がその子の異常に気づいてあげると言うことが最も大切です。服装・言動の異常はもちろんですし、周囲から孤立していないかどうかを見極めることも重要。そして、何かありそうだと思ったら、当人に話しかけてあげることがとても大切。子どもは悩み事があっても、自分から打ち明けることはなかなかできない。場合によっては家庭訪問が必要かも知れない。
    非行に走らないための第一歩は社会がやることとして、安全で安心な環境の確保、即ち「居場所づくり」です。ネグレクトあるいは身体的な虐待を受けていても、子供は自分の力ではその環境から抜け出せないので、児童相談所が一時保護して親から切り離し、罪を犯すような行動に出る前に別の環境に入れるというのもひとつの手段です。
四條畷学園高等学校インタビュー.jpg 四條畷学園高等学校インタビュー_中山先生.jpg
ZOOMによるインタビュー風景(四條畷学園高等学校)
【教授 中山 誠】

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