大学からのお知らせ

202211.15
大学からのお知らせ

橋本 聖子 客員教授による講義「Well-being研究③ Well-being社会実現に向けた取り組みⅡ」

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10月29日(土)本学「特別研究Ⅱ(ポストコロナ社会のWell-being)」において、橋本 聖子客員教授による講義が行われました。

本講義は本学学生、および一般社団法人 学修評価・教育開発協議会加盟校、協定校の学生を対象とした共同開講プログラムで、多分野・多領域にわたる知見を吸収しながら考察を深め、ポストコロナ社会におけるWell-being(幸福)について学び議論するオンラインプログラムとなっています。

今日の講義では、ゲスト講師として橋本先生をお招きしました。

主なテーマとして、スポーツを通じて考えるWell-beingについてお話いただき、自身の「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」(以下、東京大会)でのご経験を軸に講義は進みました。運営のあらゆる場面に「人の幸せを願う心」が存在していたことを知り得る、貴重な講義となりました。

講義の中では、東京大会においてサイバー攻撃を含めたあらゆる危機に対する警備・セキュリティ対策を綿密に準備して実施し、世界中から評価を受けたこと、また「復興オリパラ」という観点からビクトリーブーケに被災地の花が選ばれ「花粉が飛ばない花」を使用するという細やかな配慮があったエピソードが語られました。

東京大会を受け、橋本先生が特に強く語られたことは「女性の活躍」「医・科学・情報部門の組織化」「レガシーの継承と発展」でした。「女性の活躍」では、女性選手の比率が約49%と史上最もジェンダー・バランスの優れた大会で実施できたこと、また組織委員会においても理事会の女性比率42%を実現したことなどが紹介されました。

「医・科学・情報部門の組織化」では、重要な部門であり世界的にも強化されていることがスタンダードである中で、日本はまだ追いついておらず、現在スポーツ界に広がるように組織化を推進していると話されました。また地域医療を巻き込んでの「未病対策」が必要であるものの、それに伴いスポーツ医学教育の改善も必要で取り組みを進めていることも伝えられました。

最後に「レガシーの継承と発展」について「AI等、情報技術が発達して仕事のやり方がどんどん変わっていく中、これからは自分自身が考えて行動することが、社会の中で生きていくために必要。そして、日本が全てにおいて課題解決の先進国として、国際社会をリードしていくことが必要」と、受講生に強いメッセージが贈られました。

橋本先生への質疑応答では、受講生たちのロジカルで鋭い視点かつ、熱い思いが伝わってくる時間となりました。中には「『橋本先生のような素晴らしい方の講義が聞けるとはすごい!』と昨日から家族が興奮しています」と話した学生もおり、全員が笑顔はじける和やかな場面も見られました。

質疑応答内容(一部抜粋)

Q. LGBTQの人たちが大会等に参加しやすくするためにはどうすればよいか?

A. オリンピック・パラリンピックに限らず、LGBTQの方が出場しやすい大会を開催するなど「誰もがスポーツをする権利」という認識を世界に広げていきたい。

Q. オリンピック・パラリンピックでは緊張とプレッシャーがあると思うが、ご自身はオリンピックという場をどのように捉え、乗り越えてこられたか?

A. 闘病など様々な困難にぶつかったが「オリンピックの選手になりたい」という夢や「スポーツをしたい」という思いから、病気と寄り添い、食生活の見直しを行うなど自分にできることを考えて実行してきた。いつしかスポーツにとどまらず「やればできるんだ」という生き方にもなった。オリンピックという場を、"困難なことを乗り越えていく最大のチャンス"として捉えていた。

有意義な90分を過ごした後、2限目では「私たちのWell-being -キャンパスライフを考える-」という講義内容で、濱名篤学長の全体進行のもと、田中綾子先生(経営学部)と、1限に参加された学生(本学と玄奘大学の学生)とともにWEBによるグループディスカッション形式で行われました。

冒頭、橋本先生の講義内容をふりかえり、あわせて田中先生作成の資料「東京2020とコロナ危機、安全・安心との闘い」で提示された東京大会でのコロナ対策の実績情報をもとに、安全と安心をテーマとした議論が行われました。さらにWell-beingの考えをポストコロナ社会に定着させていくために、東京大会が残したレガシー(未来につなげていくためのもの)を、今後どのように活かしていくのかを「スポーツ」「社会」「環境」「都市」の4つのテーマ別にディスカッションが行われ、学部や学科・国籍・学年を越えて、様々な視点からの活発な意見交換がなされました。

最後に、濱名学長から「このオリンピックレガシーを『コロナ後の自分達の生活』に活かすためにどうするか?」を次回までの学生課題として提示され、講義は終了しました。

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