心理学科ニュース

202312.07
心理学科ニュース

【心理学部】特殊詐欺 なぜ騙されるのか ―架空請求から、トクリュウへー

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122日、加古川市役所市民協働部の企画により「令和5年度防犯講座」が加古川市民会館で実施されました。その中で、心理学部の中山教授が「特殊詐欺 なぜ騙されるのか ―架空請求から、トクリュウへー」と題する講演を行いました。地域防犯活動団体からの推薦者及び一般応募者50名の方に聴講いただいた講演内容をご紹介します。

特殊詐欺の現状

近年、特殊詐欺の発生件数はやや減少しているものの、被害金額は300億円以上ときわめて高い水準にある。昨年は、オレオレ詐欺の件数は減ったが、架空請求詐欺・還付金詐欺・キャッシュカード詐欺盗が増加している。キャッシュカード詐欺盗は対面犯罪であるため、凶悪事件につながる可能性があることが以前から指摘されていたが、昨年から今年初めにかけて「ルフィが指示し、闇バイトが実行する強盗事件」が8都県で14件発生した。警察庁は匿名で流動的な犯罪集団(暴力団、半グレ)がSNS駆使して実行する犯罪を「トクリュウ」と命名して、その徹底壊滅の方針を打ち出している。

3つの事件の手口を動画で見せて、対策について提案

昨年、加古川市内で発生した特殊詐欺1074件のうち、全体の87.8%を占める3つ手口(架空請求詐欺410件、還付金詐欺394件、キャッシュカード詐欺盗139件)について、具体的な犯行手口の動画を見せた後、被疑者が用いる巧妙なテクニックを心理学的理論によって解説した。即ち「今すぐに支払えば、まだ間に合う」と時間的に切迫していることを伝えて被害者を思考停止の状態に追い込み、誰かに相談する機会を与えないようにした上で、救済措置を提案し(助け舟を出す)、支払いのハードルを下げるのが特殊詐欺の共通の手口であることを説明した。そして、特に危険なのは、相談相手が身近にいない、ひとり暮らしの65歳以上の高齢女性が狙われるので、地域全体で常に見守ることが発生防止に重要であると提案した。

聴講者の感想

講演後のアンケートには「自分は大丈夫と思わず、騙されないよう注意するとともに、周囲にも注意喚起したい」「具体性(映像等)がありわかりやすく良かった、勉強になった」などの感想が寄せられ、好評を得ていた。

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