未来をもっと安全に! 関西国際大学のセーフティ教育

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※ 安全に配慮をし、写真撮影時のみマスクを外しています。

関西の大学で最多!学生防災士養成数が1000人突破

関西国際大学では、 現代社会に不可欠な「安全安心」を教育目標のひとつに掲げ、独自のセーフティ教育に取り組んできました。2016年の秋に「防災士養成講座」がスタートし、2021年度末までに学生防災士1237人を輩出。

地域の防災力の底上げに大きく貢献しています。 セーフティマネジメント教育センターのセンター長を務める村田昌彦教授が、これまでの取り組みを振り返り、卒業生・学生とともに「防災を学ぶ」ことの大切さを語り合いました。

社会の中で生かせる「防災」というスキル

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村田先生

「セーフティマネジメ ント教育研究センター」を設立し、日本防災士機構が認証する「防災士」(市民防災リーダー)の資格講座を開設してから6年。中世古さんは、本学で誕生した学生防災士の 一 期生ですね。しかも現在、 防災関連の企業で活躍されていて、本当に嬉しく思っています。

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中世古さん

防災について初めて本格的に学んだのも、現在の勤務先を初めて知ったのもこの講座です。自分自身にとっての大きな転機になりました。

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御社には第1回から講義をお願いしています。

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はい。「遠くまで、広く、明瞭な音を伝える」という音響技術を活かして、市町村の防災行政無線システムの開発などを通じて人々の安全を守る――。「人命を救う」という大きなミッショ ンに取り組む会社の存在を知って「私もここで働きたい!」と強く思いました。

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平林さんは故郷で小学校の先生になる、という夢をかなえたばかりですね。

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平林さん

子どもたちに「自分の命をどう守るか」「ふるさとをどう守るか」を教えるのは教師の大きな役割です。この大学で、 教育学と並行してセーフティ教育を学べて本当によかったと思います。私は「南海トラフ地震が発生すれば、日本一高い34.4mの津波がくる」といわれている高知県黒潮町で生まれ育ったので、一つひとつの学びが身に沁みました。

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黒潮町は津波避難タワーの整備や、積極的な情報発信で知られる防災対策の先進地です。ぜひ教育に防災の知識を活かしてほしいと思います。一方、宮本さんは「防災・危機マネジメント」専攻ですから、防災は専門分野ですね。

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宮本さん

でも、入学した時は正直、そこまで「防災」に強い思い入れはなかったんです。村田先生に地域の防災イベ ントに誘っていただいたり、学生防災士のサークル「KUISs BOSAI」に参加したり......。気づくとどんどん専門が深まっていきました。

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そのサークルの発起人が中世古さんなんですよ。

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2017年に、一緒に防災士の資格をとった友達と一緒に立ち上げました。村田先生の研究室でワイワイ防災食を食べ比べたりして、楽しかったです。最初はゆるく始まったんですけど、今はすごく活動が広がっていますよね。

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地域の防災活動に参加したり、応急手当普及員の資格をとって、同級生や後輩たちに心肺蘇生法を指導したり...。2020年度末には、三木市の避難所運営サポーターにも委嘱されました。自分でもびっくりするぐらい色々な活動に携わっています。

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将来どんな道に進んでも、きっとこの経験は役に立つと思いますよ。

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そうですよね。「企業危機管理論」や「国際防災協力」といった講義でも、企業、行政、国際機関、NPOなど、いろいろな立場で防災に関わる人の生々しい話をたくさん聞いて、防災に関係のない仕事はないんだなあと思っています。

心肺蘇生.JPG子どもたちに心肺蘇生法を指導する宮本さん
避難所運営サポーター委嘱式.JPG委嘱式

世界に飛び出して、グローバルに防災を学ぶ

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本学は、海外研修プログラム「グローバルスタディ」でも、防災をテーマにしたプログラムが充実しています。

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私は「インドネシアの地震の防災教育」に参加しました。各国から参加した学生と一緒に防災教材を企画し、ジョグジャカルタの小学校でワークショップをして...。「防災リュックに入れる持ち出し品を考えよう!」というテーマで、ゲームの要素を取り入れて、子どもたちが楽しく学べるように工夫しました。インドネシア語、英語、日本語を行き来しながら、身振り手振りを交えて一生懸命やりとりしたこともいい経験になりました。

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私はタイ、マレーシア、インドネシア、とグローバルスタディに3回も参加しました。最初は知識不足を痛感しましたが、大学でしっかり防災関連の知識をつければ つけるほど、 現地での学びも深まりました。文化の違う色々な国の学生と議論するのは大変でしたが、この経験のおかげで大きく成長したと感じます。

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僕は、新型コロナの影響で国内プログラムに代替されることになったのですが、三木在住の外国人のための防災ワークショップに参加しました。

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入社4年目、防災事業を支える一員として活躍する中世古さん

「学び」から、未来のビジョンが生まれた

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防災を学んだことで、変化した、成長したと思うところはありますか。

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防災活動では、子どもにもお年寄りにも、地域の人にも外国人にも、それぞれの立場に立って丁寧に伝えなくてはなりません。 そんな活動を繰り返してきたことで、コミュニケーション力がついたと思います。

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視野がすごく広がりますよね。特にグローバルスタディでは、日本の常識が海外では通用しません。文化や立場の多様性が実感できたことで、どんな課題に対しても、色々な角度からのアプローチを考え、複数の答えを出そうと思うようになりました。また、防災では「常に最悪を想定する」ことが大事なので、普段の仕事でも「最悪、こうなるかも」と考えるのが 当たり前になりました。すると、先手が打てますし、取り返しのつかない失敗がなくなります。

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私は「教師」という仕事に対する意識が大きく変わりました。グローバ ルスタディでインドネシアの被災地を訪ねて、 傷ついた街を目の当たりにしたとき「故郷を守りたい」という気持ちが湧き上がったんです。そして「教師として、子どもたちに 故郷を愛する気持ちを育みたい」と強く思うようになりました。 「大きな津波がくる!」と警告することも大事ですが、危険だけを強調すると、ふるさとが嫌いになりかねません。 津波のリスクが大きいことは、逆にいえば、いつも海から大きな恵みを受けているということです。そんなポジティブな面もしっかり伝えて、 前向きに防災に取り組む意志を育てたい。そう考えて、卒業論文も「ふるさとに帰りたくなる防災教育」というタイトルで書きました。

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素晴らしいですね。 ここでの学びが広がる未来が楽しみです。

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オリジナルの防災教材でインドネシアの小学校でワークショップをする平林さん