TOEIC®対策プログラム

第四回

2024年3月

日本一の「英語のパワースポット」へ、ふたたび。

本学独自のTOEIC®️対策プログラムの報告「第四回」は、今春卒業して高校教員となる4年生の横山智也さん(英語コミュニケーション学科)、1年生の松村稀介さん、宮﨑要さん(ともにグローバルコミュニケーション学科)と、横山雅彦教授の座談会をお届けします。

横山教授は、2023年度から3年ぶりに国際コミュニケーション学部に戻り、新設された高等教育研究開発センター外国語教育部門長に就任、2025年度の新学部創設に向けて、他大学にはない画期的な英語教育のカリキュラムの構築にあたっています。

横山教授のもと、国際コミュニケーション学部に生まれた「英語のパワースポット」は、横山教授の所属変更、キャンパス移転、そして何より未曾有のコロナ禍が重なって、かつての勢いを失ってしまったかに見えましたが、ところがどっこい、「焼けぼっくい」の火は生きていました。学生3人が見せた「やればできた、もっとできる」の物語、先輩から後輩への「焼けぼっくい」継承の瞬間を、やや長い座談会となりますが、どうかぜひお読みください。


高校の英語の先生として、ふたたび尼崎へ

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横山 雅彦 教授

●横山教授 今日は、春休みで、きっといろいろ忙しい中、座談会のために学校に集まってくれて、本当にありがとうございます。横山くんは、この座談会には二度目の登場ですが、まずは、ご卒業おめでとうございます。3月12日の学位記授与式では、学長から成績優秀賞を受賞して、僕もとても嬉しく思いました。
●横山さん ありがとうございます。
●横山教授 早いものですね。
●横山さん 本当に早いです。「英語のパワースポット作りのお手伝いをしたい」と、先生の研究室にお伺いして、にべもなく追い返されたのが、まるで昨日のことみたいです。(注1)
●横山教授 まだ尼崎キャンパスにいた頃ですね。横山くんが2年生になったときに、神戸山手大学との合併があり、国際コミュニケーション学部は神戸に引っ越してきたんですが、本当にいろんなことがありました。横山くんは、明治大学をやめてまで本学に来てくれて、お世辞ではなく、本当によくがんばりました。面と向かって褒めはしませんでしたが、僕の誇りでした。
●横山さん もともと私は、予備校の浪人時代に横山先生の参考書で勉強していて、横山先生のような英語の先生になりたいと思って、明治大学の英文学科に入学しました。最初から高校の先生になるつもりでした。カタカナ英語で英文法しか教えられない、リーディングしか教えられない先生ではなく、横山先生のように発音が上手くて、英語が話せる英語の先生に憧れたんです。2年生のとき、横山先生が関西国際大学の先生になられたと知り、迷わず退学し、再受験しました。横山先生に学ぶしかないと思いました。
●横山教授 本当にびっくりしましたし、この令和の時代に、こんなに不器用でまっすぐな若者がいるのかと感動もしました。そして、夢を叶えたんですね。
●横山さん はい。4月から、尼崎の園田学園中学・高等学校の英語の教員として、教壇に立ちます。
●横山教授 よかったね。本当におめでとう。そうか、尼崎の高校なんですね。
●横山さん はい。尼崎に戻ります。
●横山教授 尼崎キャンパスは、研究室の前が自習スペースになっていて、学生たちがみんな集まって、大きな声で音読していました。懐かしいです。
●横山さん 当時の学部長からは「うるさい」と叱られたんですが、横山先生からは「ガマガエルが鳴いているみたいだ。もっとしっかり腹から声を出しなさい」と叱られました(笑)。
●横山教授 「音読なんだから、うるさくてあたりまえだ。もっとやれ」と(笑)。

(注1) 「第三回」の記事参照。

TOEICでリスニングがリーディングを上回る

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4年生 横山さん

●横山教授 TOEICのスコアはどうだったんだっけ? 
●横山さん 私が入学した当時は、プレイスメントテストとしてTOEIC Bridge(注2)のIPテストが使われていたので、1年生のときのスコアはありません。
●横山教授 Bridgeのスコアはどうだったの?
●横山さん 85点でした。リスニングが35点、リーディングが50点です。
●横山教授 TOEICに換算すると、だいたい500点くらいかな。さすがは元明大生、リーディングは満点なんですね。ただ、Bridgeではそれ以上は測れないので、もしかすると、リーディング次第で、TOEICなら600点以上は出たかもしれません。
●横山さん 当時は、横山先生の指導のもと、200点台から1年で800点台に上げた菅田さんや眞榮城さんといった本当にすごい先輩たちがおられて(注3)、学部長に「静かにしろ」と怒られながら、毎日夜の閉門時間まで、横山先生の研究室の前で勉強し、練習していました。本当にパワースポットのような熱気でムンムンしていました。
●横山教授 僕が着任して3年目ですね。僕が入ったときは、卒業時の平均が350点だったんです。入学時ではなく、卒業時です。そこからのスタートでした。菅田くんと眞榮城くんが、文字通りのゲームチェンジャーでしたね。僕と一緒に苦労して、道を開いてくれたと思います。横山くんも、ずっと年下の彼らを先輩と立てて、がんばってくれました。
●横山さん 学科全体が、まるでESSの部活のような雰囲気でしたもんね。
●横山教授 そこに身を置いたら、英語が好きになってしまう、英語が上手になってしまう、そういう「思いの場」ができていたと思います。
●横山さん 2年生になって、大学でTOEICのIPテストを受けまして、それは840点でした。それから、7月に公開テストを受けにいって、そちらは835点でした。
●横山教授 835点の内訳は?
●横山さん リスニングが445点で、リーディングが390点です。リーディングも伸びましたが、それ以上に苦手だったリスニングの方が高くなったんです。500点中の445点ですから約9割。とても嬉しかったです。
●横山教授 「TOEICは2年生まで。3年生からは英語を使って学問をするんだ」という僕の言葉を愚直に守って、それ以後は受験していないんですよね。英語の先生になるのだから、バージョンアップのためにも定期的に受けておくといいですよ。TOEIC満点は、やはり英語の先生としての勲章です。今なら、ぶっつけで受けても、間違いなく950点以上は出るはずです。
●横山さん 自分でも、2年生のときよりも、はるかにできる実感はあります。ずっと勉強を続けて、生徒たちには、背中で教えられるようになりたいと思います。横山先生のようになりたいです。
●横山教授 お世辞はもういいです(笑)。でも、本当にがんばってくださいね。これからの人生、ずっと英語と一緒に生きていくんだからね。これからはライバルですね。
●横山さん 残念だったのは、横山先生が途中で国際コミュニケーション学部を離れてしまわれたことです。
●横山教授 基盤教育機構の所属になり、全キャンパスの英語教育のコーディネートをしていました。2023年度から、高等教育研究開発センターに全学の外国語教育を所轄する外国語教育部門という新しい部門ができ、その部門長として、国際コミュニケーション学部に出戻ってきました。研究室の引っ越しも、やっと夏に終わって、浦島太郎のような気分です。
●横山さん それに加えて、キャンパスの移動と、何よりあのコロナ禍があり、せっかく眞榮城さんや菅田さんといった先輩たちが作った「英語のパワースポット」を、次につなぐことができませんでした。
⚫︎横山教授 そうですね。尼崎時代には、鮮烈な成功体験を持つ先輩たちが、率先して英語学習のロールモデルになって、アドバイスをしたり教えたりしてくれていたので、本当に楽でした。僕にとっても、また一人で振り出しに戻る感がありました。

(注2) 初中級者向けのTOEICテスト。リスニング50点、リーディング50点の100点満点のテストである。現在の国際コミュニケーション学部のプレイスメントでは、TOEIC IPテストが使われている。

(注3) 「第三回」の記事参照。

TOEICのスコアが10ヶ月で160から495へ

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1年生 松村さん(左)、宮﨑さん(右)

●横山教授 実は、ここに国際コミュニケーション学部の1年生が2人、来てくれています。横山くんとは初対面ですね。切磋琢磨してがんばった2人です。まずは松村くん。松村くんは、2月のTOEICで735点を叩き出して、1年生ではダントツのトップになりました。700点台はただ一人です。すごかったね。
●松村さん ありがとうございます。これまで、宮﨑くんと一緒にがんばってきて、本当によかったです。でも、正直なことを言うと、僕は宮﨑くんのスコアのほうが嬉しかったです。本当にがんばっていたのを知っていたので。2月のTOEICでは、2人で「やったな!」と喜び合いました。
●横山教授 宮﨑くんは495点だったんですね。
●宮﨑さん はい、横山さんや松村くんに比べたら、とても低くて恥ずかしいのですけど。
●横山教授 宮﨑くんは、大学の授業が始まって、すぐに研究室に来てくれました。よく覚えています。「中学の英語の先生になりたい」と。
●宮﨑さん プレイスメントで受けたTOEICが160点だったんです。グローバルリサーチ(以下GR、注4)に行くには最低450点を取っていることが条件なのに、この点数では、とても無理です。いったいどんな勉強をしたらいいのか、どこから始めたらいいのか、本当に途方に暮れて、先生に相談にいきました。
●横山教授 本学に着任して、もうすっかり耐性ができましたが、200点台や300点台というのは、ぶっちゃけ、あてずっぽうでマークしても取れるくらいひどい点数で、ふつう他大学では教育不可能とされるスコアゾーンなんですね。それが160点で、しかも、よりによって英語の先生になりたいと(笑)。
●宮﨑さん 僕は中学校のとき、不登校だったんです。そのときに寄り添ってくれる先生がいて。それが英語の先生でした。毎日家に来てくれて、英語を教えてくれたんです。先生になりたいと思ったのは、その先生の影響です。
●横山教授 僕も「大丈夫だ」とは言ったものの、「これは僕も必死でやらなければならない」と、覚悟を決めました。ただ、本音を言えば「炒り豆に花を咲かせる」ようなことなので、僕はともかく、宮﨑くんの辛抱が続くだろうか、それが心配でした。
●宮﨑さん なかなかできるようにはならずに、それでもとにかく先生を信じるしかないと、必死で授業に食らいつきました。
●横山教授 授業でやったのは、ただひたすら、英文法と英音法の基礎ですね。TOEICの「ト」にも触れていません。だから、夏期のTOEIC対策の集中授業で模擬試験をやっても、当然200点くらいしか取れなくて、ひょっとしたら、これでやめてしまうだろうかと思いましたが、辛抱を切らさずに、信じてよくついてきてくれました。模擬試験が終わったとき、肩にかけたタオルで汗をぬぐう振りをしながら、誰にも気づかれないように、ぐっと目頭を押さえて涙をぬぐったのが、深く心に残っています。あれを見て、僕も「もっともっとがんばろう」と思いました。
●松村さん そんなことがあったんですか。一緒にいたのに、気がつきませんでした。
●横山教授 それが、今や495点ですからね。必ず結果は出るとわかってはいましたが、僕も本当に嬉しかったです。基礎があるから、もう大丈夫。サボらずにこのまま勉強を続ければ、2年生には700点、3年生には900点と上がっていきます。そして、きっといい先生になれる。できない苦しみを知っていますからね。どうやってできるようになればいいかも知っている。不登校の面倒をみてくださった先生のように、生徒に寄り添える先生になってください。楽しみです。

(注4) グローバルコミュニケーション学科に在籍する学生全員が、2年時に履修する留学プログラム。

TOEICのスコアが10ヶ月で305から735へ

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●横山教授 一方、松村くんとは、TOEIC対策ではじめて出会いました。
●松村さん はい。僕はレベル2で、宮﨑くんはレベル1でした。横山先生は一番下のレベル1しか教えておられなかったので。
●横山教授 200点台がボリュームゾーンで、それを450点まで引き上げないとGRには出せないでしょう。できなければ、ディプロマ・ポリシーにも関わる責任問題になるわけですが、それには、文字通り命を削る熱量が必要で、非常勤の先生にお願いするのは酷、というか、不可能なんですね。TOEICに関する限り、「低いスコアほど伸ばしやすい」というのは、まったくの誤解です。むしろ、500点くらいを700や800にするほうがずっと簡単で、やはり中学高校の英語がすっぽり抜け落ちた200点台の大学生を伸ばすのは、普通は無理です。そんなわけで、僕はレベル1にかかりきりで、レベル2以上の学生たちとは、TOEICの対策授業が初対面でした。松村くんはプレイスメントでは何点だったの?
●松村さん 305点です。
●横山教授 感覚が麻痺してしまって、とてもいい点数に聞こえてしまいますけど(笑)。
●松村さん それでレベル2に入れられてしまって、横山先生の授業が受けられなかったんです。
●横山教授 単位にならないのに、秋学期からは、僕の授業に出てきてくれました。
●松村さん 僕も「現在形って何?」というレベルで、宮﨑くんに教えてもらったりしていたんです。横山先生の授業が受けられるレベル1がうらやましくて、「秋学期こそ」と期待していたんですが、時間割を見たら、やっぱりなくて、これはもう先生に直接頼むしかないと思いました。
●横山教授 スタートが305点で、1月には670点でぶっちぎりの1位になり、さらに2月には735点になりました。ものすごい進撃ぶりだったね。
●松村さん 670点でも「まぐれじゃないか」と信じられなかったのに、翌月には700点台に乗ってしまって、お母さんから、ご褒美に1万円もらいました(笑)。
●横山教授 ちなみに、横山くんはレベル3からのスタートでしたね。
●横山さん はい。ですから、私も横山先生の授業で取れたのは、夏期と冬期のTOEIC対策だけです。それで、春学期はレベル1の横山先生の授業の教科書を手に入れて、どんなことをしているのか教えてもらったり、授業で配られたプリントをコピーさせてもらったりしていました。あまりに嗅ぎ回って、横山先生に叱られたこともあります。
●横山教授 横山くんは、がっつり受験英語を経てきていますからね。レベル3に入って、留学生と一緒にオールイングリッシュで勉強できて、かえってよかったと思います。TOEICはもともと日本人が主導して作ったテストで、大学入試の延長なんですね。ですから、一般入試で入ってきた学生なら、400点くらいはそこそこ取れてしまう。しかし、そういう学生ほど、本当は基礎をやり直さなければならないんです。他大学の学生が、就職の際の履歴書に「TOEIC 600点」と書いたら、面接で「よほど大学で英語をサボったんですね」と言われてしまったという話を聞いたことがあります。つまり、400点や500点は、本学ではすごくても、一歩外に出れば、まったく評価されないスコアなんです。そして、基礎打ちをしないまま、いくら英語ネイティブの授業を受けても、変に外人慣れするだけで、必ず600点くらいで頭打ちになってしまいます。TOEICの500点以下は、実際には団子状態なんですね。まして、うちに入ってくる子は、ほぼ全員が200点台、よくて300点台で、たまに400点台、500点台がいるくらいです。それをレベル分けするのは、おかしな学内カーストを生むだけで、本当は意味がないんです。今年の1年生も、結局は、こうしてレベル1やレベル2の子がトップになってしまい、今後、この問題をどうするか、僕自身の大きな課題でもあります。

TOEICを超えて

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●横山教授 横山くんは、2年生の秋学期からアメリカに留学したんですね。
●横山さん 正確には1月からです。3年生の5月いっぱいまで、カリフォルニア州立大学フラトン校に留学しました。留学前に先生にご挨拶に伺ったら、「これを持っていけ」と『日米口語辞典』(注5)を手渡してくださいました。
●横山教授 僕が大学時代に使い倒した一番思い入れのある辞書なんです。何度もボロボロにして買い替え、丸暗記した辞書です。
●横山さん そのエピソードは、先生の自伝(注6)にも出てきますね。その辞書をプレゼントしていただけて、心から感動しました。
●横山教授 そして、横山くんは、アメリカで音声学という学問に出会って、それが卒業研究にもつながったんですね。卒論も立派に書き上げて、僕は副査には当たりませんでしたが、素晴らしい評価だったと聞きました。
●横山さん 「音」としての英語は、横山先生の影響です。それがアメリカでの学びにつながりました。もちろん、アメリカには、先生の『英語のハノン』(注7)の「初級」と「中級」も持っていきました。
●横山教授 そうか、あのときは、まだ「上級」は出てなかったからね。
●横山さん SNSなどでも、「中級」と「上級」に関しては、英検1級やTOEIC満点の人が「難しい」とか「手も足も出ない」という感想を書いているのをよく目にします。
●横山教授 知っているだけの文法や単語の知識と、実際にスピーキングで使うことができる知識のあいだには、母語でさえ、10倍の差があると言われます。まして外国語であれば、その差は100倍くらいあるのではないか、という気すらします。『英語のハノン』は、その差を埋めるためのドリルです。もともと、「初級」は、僕自身が本学の授業で使うために書いた本でした。「中級」と「上級」は、接続詞や関係詞、比較や仮定法といった、高度な文法を扱っていて、それらをスピーキングで自在に操れる日本人は、実は英検1級やTOEIC満点ホルダーでも、非常に少ないと思います。彼らが話すのを聞いていると、だいたいシンプルで簡単な文をandやbutでつないでいるだけですね。
●横山さん それが、ハノンの「中級」をアメリカの大学生にやらせてみたら、一発で、いとも簡単にやってのけたんです。あの「鬼マルジ」(注8)を、です。英検1級やTOEIC満点の「その先」というか、英語ネイティブとの「差」を目の当たりにして、あたりまえのことかもしれませんが、驚きでしたし、感動でした。
●横山教授 「英検1級やTOEIC満点では使い物にならない」と僕が言うのは、そういうことです。よく誤解されてしまうのですが、僕がこれを言うのは、みんなが英語のプロとして、一生英語と一緒に生きていくからです。趣味としてやっているのではない。みんなは、その手で書く英語、その口から発する英語を、お金を出して買ってもらうんです。もちろん、ただ単に英語が上手いだけではなく、「中身」ですね、「知識」や「教養」も伴っていなければならない。僕の先生は、東京外国語大学名誉教授の小浪充先生ですが、今の僕の年齢のときの小浪先生は、今の僕などよりもっともっとすごかった。一度も、先生の背中が見えたことすらない。TOEIC満点のその先へ、みんなにも向かってほしい。心から、そう思います。

(注5) エドワード・G・サイデンステッカー/松本道弘共編『最新日米口語辞典』(朝日出版社)
(注6) 横山雅彦『英語バカのすすめ──私はこうして英語を学んだ』(ちくまプリマー新書)
(注7) 『英語のハノン』シリーズ(筑摩書房)は、横山雅彦教授の著書(東北大学の中村佐知子講師との共著)で、「フレーズ編」は、2023年度英語コーチングアワードで書籍部門の大賞を受賞した。
(注8) 『英語のハノン』の「中級」と「上級」で、アニャ・フローリスさんとともにナレーターを務めているジャック・マルジさんのこと。あまりに速く容赦のないスピードに、マルジさんのパートは、「鬼マルジ」と呼ばれている。

やればできた、もっとできる

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●横山教授 松村くんと宮﨑くんは、GRにはどこに行くつもりなんですか?
●松村さん それがまだはっきりとは決めていないんです。
●宮﨑さん 僕もです。
●松村さん やはり英語を勉強したいのですが、アメリカ・カナダやイギリスはまだ難しいので、フィリピンに行こうかと思っています。
●宮﨑さん 僕もそのように考えています。
●横山教授 まだ2人は、英語をがんばりたい、という気持ちのほうが強いのかな。
●松村さん 僕はせっかく735点を取ったので、次のテストでは800点台に乗せて、スピーキングでもぶっちぎりの一番になりたいです。
●横山教授 濱名篤学長は、よく「やればできた、もっとできる」とおっしゃいます。英語はそれが一番できることの一つではないかと思うんです。その意味で、グローバルコミュニケーション学科の学生たちは恵まれています。日本は、TOEICで高得点を取りさえすれば、大学の偏差値や学歴など関係なく、一発逆転できる「夢の国」です。こんな国は他になく、考えてみれば、とても変なんですが、それを逆手に取らない手はありません。本音では、TOEICの高得点など、まったく大したことではないと思う。しかし、がんばったら高得点が取れた、こんな結果が出た、という「事実」には、大きな意味がある。というか、それが唯一のTOEICの意義かもしれません。うちの学生には、きっとこれまで成功体験を持たずに、なんとなく大学まで来てしまったという子が多いと思うんです。たった一つでいい、確かな成功体験を掴んでほしい。そうすれば、それが「わらしべ長者」の藁一本のように、必ず次へ次へと、いつの間にか、みんなを導いてくれます。

英語バカのすすめ

●横山教授 僕は「英語バカ」でいいと思うんです。逆説的ですが、英語バカが英語バカのままで終わるはずがありません。自分の存在をあげて英語にぶつかっていく。英語が大好きになるんです。そうすれば、必ず英語も大好きになってくれます。英語は必ず助けてくれる。全身全霊で叩けば、その何十倍、何百倍もの力で、返してくれる。僕自身、何度も英語に助けられました。そうした実存的な英語学習は、ここにいる横山くんのように、必ず自分がなすべき学問、引いては自分の天職へつながっていきます。英語には、世界中にそれを話している人々がいて、それが話されている地域があります。大好きな相手をもっと深く知りたい、その歴史を知りたい、文化を知りたい、その政治や経済、社会について学びたいと思わないはずがないのです。「その先」の世界に開かれずに、いつまでも中身のない英会話ばかりしているとしたら、それは本当の意味で英語を学ぼうとしていないということです。
●横山さん 私もそれを実感しています。明大をやめて関西国際大学に来て、横山先生のもとで英語で学ぶことができ、本当によかったと思っています。
●宮﨑さん 僕はまだ始まったばかりで、それを実感することはできませんが、それを信じて、全力で英語に向かっていきます。
●横山さん 横山先生は、どこまでも学生を信じてくださるんです。宮﨑くんのように、160点で英語の先生になりたいと言っても、「無理だ」とは絶対に言わない。私がアメリカから帰国して大学院進学を考えて迷っていたときも、横浜市の教員採用試験でまさかの不合格になり、落ち込んでいたときも、ずっと私を信じて待っていてくださいました。そして、いざこうすると決めたら、とことん応援してくださいました。本当に、ありがとうございました。心から感謝しています。
●横山教授 予備校時代、「僕は恩師ではないし、君たちも教え子ではない。大学に入ったら、僕のことなど忘れて、二度と訪ねてくるんじゃない」と言っていました。「恩師は大学で見つけるもの、そのために大学に行くんだ」と。本学の教員になって、菅田くんや眞榮城くん、横山くんのような学生たちとめぐり逢えて、はじめて僕にも「教え子」ができたのかな、と思います。こちらのほうこそ、ありがとうね。
●横山さん 入学時に200点台以下で、2年生で800点台というのは、まず他大学にはないですね。本当にすごいことですし、先生のご苦労も想像を絶するのですが、最初から英語が得意な学生が先生のもとで学んだら、どんなことになってしまうのだろうか、とも思います。
●横山教授 僕自身のことを言うと、兵庫県三木市の市立中学、県立高校の出身なんですね。両親に買ってもらった教師用のテープを擦り切れるまで聞き、中3のとき、三木市の中学校英語暗唱大会で優勝しました。高校では、上智大学で開かれた日米親善全国高校米英会話弁論大会に兵庫県代表として出場し、神戸新聞に記事が出たこともあります。もし今、僕が当時の僕を預かれるなら、1、2年生のうちにTOEICで満点を取らせることができると思います。そして、天下無敵の英語力で、世界に打って出る人材に育てることができると思います。横山くんは箱根の向こうから来てくれましたが、逆に、わざわざ関西から箱根を越えて首都圏の難関大学に行かなくても、本学なら、きっとそれ以上の結果を出すことができます。もし当時の僕のような「英語命」の高校生が近くにいて、いろいろな事情で箱根を越えることができないなら、ぜひ本学に来てほしい。僕に下駄を預けてほしい。そういう思いを強く持っています。

迷ったらここ!

●横山教授 さて、それでは松村くん、700点超えを果たした1年生トップとして、本学への進学を考えている高校生のみなさんに、ぜひ、最後に何かひとこと。
●松村さん 迷ったらここ!
●横山教授 それだけ?
●松村さん はい、迷ったらここ!
一同 (笑)
●松村さん 僕は、高3になってもまったく進路について考えていなかったんです。先生から大学は行っとけと言われて、それで漠然とやるなら英語かなと考えて、一番入りやすいところをインターネットで調べたんです。英語が勉強できる大学を、家から通えるところで下から探したら、この大学が出てきました。でも、それが運命の出会いでした。
●横山教授 今日は、「英語のパワースポット」のいわば「焼けぼっくい」を、横山くんから松村くん、宮﨑くんに手渡してもらうことができて、とても嬉しかったです。受け継いだ松村くん、宮﨑くんと一緒に、その「焼けぼっくい」の火をもう一度起こして、大きな大きな燃えさかる炎にしていきたい。2人とも、がんばろうね。そして、横山くんは、これから発展していく母校を、どうか見守っていてください。いつでも訪ねてきてくださいね。今日は、本当にどうもありがとうございました。

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第三回

2021年12月

TOEIC500点以上の大幅UPも!基盤英語教育で驚異の英語教育をすべての学部で展開

2021年度から「基盤英語教育」として、関西国際大学に入学したすべての学生(国際コミュニケーション学部を除く※1)が、1年次と2年次に、本学独自のカリキュラムで英語を学ぶようになりました。
「基盤英語教育」のコーディネートを担当するのは、横山雅彦准教授、前田哲男准教授、三好徹明講師の3人の英語教育のエキスパートたち。そして総合コーディネーターは、英会話本として革命的大ヒットとなった『英語のハノン』(中村佐知子東北大学講師との共著、筑摩書房)の著者、横山准教授です。
関西国際大学の驚異の英語教育の特色と魅力を、横山准教授と実際に体験した学生の声とともに紹介します。

※1 国際コミュニケーション学部は学部の性質上、もともと手厚い英語教育をカリキュラムに組み込んでおり「基盤英語教育」の対象ではありません。

教員からのメッセージ


基盤英語科目総合コーディネーター
横山雅彦 准教授

ポテンシャルを最大限に引き出す、
関西国際大学を日本一の「英語のパワースポット」へ

本学に着任したのが2018年。私は本学で奇跡を目撃しました。
ここで紹介する3人の言葉がすべてです。彼らはゼロ、いやマイナスの状態から、新たな目標に向かって努力を続けました。正しい方法で「できるようになるまでがんばる」。英語を身に付けるために必要なのは、ただそれだけです。

入学する学生のほとんどが、TOEICで200〜300点という、正直に言うとそれまで私が見たこともないスコアでした。500点台からスコアを上げることは比較的容易でも、200-300点台からの脱出は極めて困難で、暗黙のうちに大学教育では「アンタッチャブル」、つまり教育不可能なゾーンとされています。もっと言うと、卒業生の平均スコアは350点、いったいどこから手をつけていいのか、私も途方に暮れたことをよく覚えています。ところが今では、2年生でほぼ全員が450点をクリアし、700点台や800点台、なかには900点台に乗せる学生も出ています。

もちろん、それぞれに専攻を持つ大学生にとって英語は夢を叶える手段であって、目的ではありません。しかし、日本はTOEICのスコアが高ければ、出身大学や偏差値など関係なく、一発逆転できる「夢の国」です。その是非はいろいろあるでしょう。しかし、英語「も」できるようになって損はない。この「ジャパニーズ・ドリーム」を利用しない手はないのです。

よく「英語バカ」などと揶揄されますが、逆説的に、大学で学ぶ英語が「英語バカ」で終わることは絶対にありません。英語の向こうには、英語を話す人々がいて、英語が話されている地域があります。歴史があります。正しい指導者のもと一生懸命に英語を学んで、その関心が英語の先の「学問」の世界に向かわないはずはないのです。それは「文化」かもしれません。「経済」かもしれない。「政治」かもしれない。「環境問題」なのか「国際関係」なのか、とにかく、英語はこのグローバル時代におけるすべての学問の入口であり、土台です。そうした意味での英語教育こそ「国際大学」としての本学が目指すものでありたいと思います。

2021年度から、前田哲男先生、三好徹明先生とともに、国際コミュニケーション学部を除くすべての学部学科で、本学独自の「基盤英語教育」がスタートしました。そこで展開している授業は、私が学生たちと、ともに試行錯誤し、作り上げたカリキュラムが基礎になっています。

まったく英語ができなくても、英語が苦手でも、まったく大丈夫。関西国際大学で、英語「も」強くなってみませんか。

学生の声①


英語コミュニケーション学科 3年
眞榮城隆広さん

大学デビューでも大丈夫!基礎を固めれば力は伸びる
★TOEIC 715点(2年生夏の実績)

高校時代は、野球三昧の日々でした。
野球に青春を捧げ、四国の高校で寮生活を送っていました。ですから、学業は完全に「大学デビュー」です。生まれて初めて受けたTOEICは問題文の意味すら分からず、スコアも300点に届きませんでした。

横山先生は最初の講義で、開口一番「必ずできるようになる」とおっしゃいました。そして「自分がすべての責任を持つ」と力強く言い切り、「英語の習得には辛抱がいる」と教えてくれました。この時「やるなら覚悟を決めてやろう」と思ったことを覚えています。そんな僕の土台になったのが、横山先生の「英文法」と「英音法」の2つの講義です。英文の構造を理解し、リズムを体に染みこませる。その両面から英語の基本を身につけていくのです。

12月にスコアが455点になりました。「基礎を固めればスコアはちゃんと上がる」という当たり前の事実が自信になりました。コロナ禍で留学ができなかったのは残念ですが、「日本でできることをしっかりやろう」と気持ちを切り替えることができ、英語の習得にはかえってよかったと思っています。

私は今、英語を通して、その先の学問に向かっています。沖縄出身の私は、英語を通して学んだアメリカの先住民や黒人の歴史に大いに共感し、もっと深く知りたいと思うようになりました。さまざまな人種問題を乗り越えてきたアメリカ史を学んだことで、立場の弱い人の声に耳を傾けることの重要性が理解できました。野球部の主将だった高校時代、がんばっているのに試合に出られないメンバーのことまで十分に気にかけていただろうか。そんな自省につながり、考え方も変化しました。卒業後は大学院に進学し、アメリカ研究をしたいと考えています。

英語の勉強は楽ではありません。でも、しんどいことから逃げたら、ずっと逃げ続けることになる。この大学なら、大学デビューでも、いま実力がなくても大丈夫。
「やってみよう」「やりたい」と思う人は、ぜひチャレンジしてほしいと思います。

学生の声②


英語コミュニケーション学科 3年
菅田啓太さん

「やるか、やらないか」で、未来が決まる
★TOEIC 845点(2年生夏の実績)

高校時代の3年間は寮生活でサッカーに打ち込んでいて勉強は二の次でした。でも「英語をしっかり身につけたい」という思いは明確だったので、学びたいカリキュラムのある関西国際大学を「ここや!」と直感で選びました。

横山先生のすごさを全く知らずに入学しましたが、入学直後のオリエンテーションで「この人、何でも知ってる!歩く電子辞書だ!」と、強烈な印象を受けました。そして「英語をモノにするには、生半可な気持ちじゃダメだ」と気づきました。高校時代にサッカーで経験したキツいトレーニングを、今度は英語でやらなくちゃいけないのです。

口でいうのは簡単ですが、とにかく最初は大変でした。 僕の英語は中学レベルで完全に止まっていたので知識はほぼ0です。これを1にするのが難しい。横山先生を頼りに、とにかく英語にぶつかっていきました。特に大事にしたのは復習です。講義の後はすぐ復習する。疑問点があればすぐ研究室に質問に行き、やり方が間違っていたら改善する...。これを繰り返しました。

横山先生のTOEIC対策講座(センタープログラム※2)も受講しました。小手先のテクニックでスコアを上げるのではなく、文法を基礎からみっちり固めるのが横山先生のスタイルです。1年の6月は425点。文法がちょっと分かり始めた12月に555点になりました。先生から「400〜500点あたりが一番しんどい」と聞いていた通り、このあたりはややスランプでした。しかし、2年の6月に700点、12月に800点を突破し、ようやく手応えを感じるようになりました。何かを習得するには「何をどう学ぶか」が大切です。大学名や偏差値なんて関係ない。横山先生は口癖のように「できるかできないかじゃない。やるかやらないかだ」とおっしゃるのですが、本当にその通りだと思います。

英語を学べば視野はぐっと広がります。気候変動のようなグローバルな問題意識も高まりますし、日本という国の見え方も変わります。大学卒業後は、ここで身につけた英語力を前提として国際的なビジネスの世界でがんばり、ゆくゆくは起業する夢を描いています。

※2 学修支援センターが実施する学修支援プログラム。2022年度からは「基盤英語教育」と連動し、すべてのキャンパスで展開される予定です。

学生の声③


英語コミュニケーション学科 2年
横山智也さん

決死の「学び直し」で、英語教師への道が開けた
★★TOEIC 840点(2年生夏の実績)

私の名字は、横山先生と同じ「横山」です。実は、私が大学に入るのは2度目です。
明治大学の文学部で英米文学を専攻していたのです。望んで入った大学でしたが「英文学ではなく、語学としての英語をしっかり学びたい」という思いが高まり、専攻内容とのギャップに悩むようになりました。そんな時、受験生時代に読み、明治大学合格の原動力ともなった参考書の著者である横山雅彦先生が本学におられることを知りました。そして、本学ホームページの「独自のTOEIC対策プログラム」という記事で、「関西国際大学を英語のパワースポットにしたい」という横山先生の熱い言葉に感銘を受け「先生のもとで学び直そう!」と決意して、ここに来たのです。

入学後、先生の研究室を訪ねて「先生のパワースポット作りのお手伝いをしたい」と私の思いを語りました。しかし先生は「自分を助けることもできずに、人を助けられるものか。本当にそう思うのならTOEICで800点を取ってから来なさい」と、にべもなくおっしゃり、バッサリ斬られてしまいました。

私の弱点はリスニングとスピーキングだったので、横山先生の「英音法」の講義には本当に助けられました。12月のTOEICではリスニングのスコアがリーディングを超え、海外ドラマを見ていても、自然に聞き取れるフレーズが増えました。

横山先生が学生にかける言葉は甘くありません。しかし、それは本気で学生のことを思ってくれているからです。
2年生の7月に受けたTOEICのスコアは840点でした。この取材で、ライターさんが横山先生に「これで横山君が英語のパワースポット作りを手伝ってくれますね」と尋ねたら、先生は「もう手伝ってくれています」とおっしゃいました。涙が出そうでした。

2022年1月から半年間アメリカに留学し、本学を卒業後は大学院へ進学します。大学院では音声学を専攻するつもりです。横山先生の日本人離れした美しい発音に憧れています。僕が特にすごいと思う所はリスニングの指導で、横山先生はスクリプトをまったく見ないんです。スクリプトを見ずに「この音はこうなっている」と解説をしてくださり、その音の手本を、ネイティブの音源ではなく、自らの声で示してくださる。僕は、横山先生のような英語教師になりたいと思っています。

2021年度から、横山先生がデザインする英語の授業が「基盤英語教育」として展開され、すべての学部で受けられるようになりました。英語専攻でなくても、社会学や経営学といった専門分野に+αとして、本気で英語が学べるのです。とても恵まれた環境だと思います。

※写真撮影時のみマスクを外しています

第二回

2020年4月

英語教育のエキスパートの横山雅彦准教授を迎え、2018年に始動した本学独自のTOEIC 対策プログラム(センタープログラム)。これらを受講した学生が、2019年6月のTOEICテストで、最高 805点をマークしたほか、多数が150点以上の大幅スコアアップを果たしました。3人の学生に喜びの声とこれからの抱負を聞きました。

担当教員・職員からのメッセージ


横山 雅彦 准教授
(TOEIC対策センタープログラム 担当)

本当の英語の学びがここから始まる!

「TOEIC 対策」センタープログラムを受講した多くの学生が短期間で大幅なスコアアップを果たしたという結果を受けて、教員も学生も本気でコミットすれば必ず結果が出るということを改めて実感しています。去年の春の着任時、200点台、300点台の学生に「必ずスコアを倍にする、満点を取らせる」と宣言したときには、誰一人信じてはくれませんでした。しかし、今ではそれを疑う人はもう一人もいません。

英語の習得に才能は関係ありませんが、日常に英語環境のない日本で英語を習得するには、大変な苦労が必要です。しかし、スポーツでも武道でも、外目から見れば難行苦行でも、本人にしてみれば 「楽しくて仕方がない」ということがありますね。英語もそれと同じ。「大好き」になることです。この講座を受け、成績を伸ばした学生たちに共通するのは、みんな英語が「大好き」になってくれたということ。そうすれば、放っておいても英語を勉強します。勉強しないではいられない。そうなれば、しめたものです。放っておいても、TOEIC 高得点はもうすぐです。

800点、900点の学生が増えれば、それに触発されてがんばる仲間が増えていく。関西国際大学を、そんな「英語のパワースポット」にしたいと思っています。しかし、TOEIC 高得点は大きく豊かな英語の世界の入口にすぎません。一人でも多くの学生が、「その先の世界」「学びの世界」へ進んでいってほしい。英語 "で" 学んでほしい。僕の専門はアメリカ研究ですが、早くみんなと一緒にアメリカ研究をしたい。その未来にワクワクしています。


学修支援センター 木村 泰教 主任

学修支援センターではあらゆる学びをサポート!

TOEICは問題数が多いので、スコアアップのためには問題の形式に慣れることと、スピードに乗って問題を解く訓練が必要です。そこで学修支援センターでは、横山先生の講座をサポートするプログラムとして、毎日昼休みに10分の小テストを実施してきました。TOEICの模試を小分けにしたも ので、続けることで苦手なパートが把握できますし、日々の勉強のモチベーションにもつながります。2週間で全問がひとまわりすると、スコアシートを作成して自己分析に役立ててもらいます。毎日のことなので大変ですが、やればやるほど点数が上がるので、受けているうちに面白くなってくる んですね。最初は「最後まで来てくれるのは、せいぜい数人かな」と思っていましたが、約20人がお昼休み返上で一日も欠かさず来てくれて、すごい熱気でした。

TOEICに限らず、学修支援センターではあらゆる学びの相談に乗っていますし、成長したいと思う学生へのサポートを惜しみません。熱意ある教員や職員が、学生の成長を自分のことのように喜ぶ空気もあります。この環境を活かして、これからも思いっきり学んでほしいと願っています。

3名の学生へのインタビュー


教育学部 英語コミュニケーション学科(当時)
2年 石平 航大 さん
(尼崎市立尼崎双星高等学校出身)

2年次春学期にTOEICスコア805点達成! 次の目標は900点!

目標の800点を超え、次の目標は900点です。この数か月、就寝前の数時間は必ず勉強し、枕元に教材を置いて寝て、目が覚めるとすぐ開くことを習慣づけてきました。1日の始まりと終わりに、必ず英語に触れたいと思ったからです。集中して授業を受けるだけでなく、自宅学習をどれだけがんばれるかがスコアアップのカギだと思います。TOEICの勉強を通じて、自分で自分をコントロールする力が身についたことも大きな収穫でした。

横山先生は、当たり前のことをきちんと言ってくださる本当に信頼できる先生です。ここまでがんばれたのも「先生に教えてもらったことをちゃんとやれば、絶対に力がつく」と心から信じることができたからだと思っています。

今のところ、将来の夢は英語教師ですが、TOEICのスコアを活かせる外資系企業にも興味が湧いてきました。自分の英語力にはまだまだ満足していないので、もっともっと力をつけて社会に出たいと思います。秋にはアメリカでの2週間の海外研修に参加するので、スピーキングの力を実践で試すのが楽しみです。

関西国際大学なら、ゼロから英語力を伸ばせます。英語に興味がある人は、どんどんチャレンジしてほしいと思います。


教育学部 英語コミュニケーション学科(当時)
2年 大橋 颯希 さん
(兵庫県立社高等学校出身)

実質わずか2ヶ月で555点→710点に!熱い授業で、闘志が燃える!

私は子どものころから英会話教室に通っていて、英語、特にヒアリングやスピーキングには自信がありました。そのせいもあって、最初は「TOEIC対策」は受講しなくても大丈夫、と思っていたのですが、受講した友人がどんどん点数を上げていくのを見て「もっとがんばらないと差が付いてしまう!」と思うようになり、2年の春から受講を始めました。

横山先生の授業はとても厳しくて、ずっと集中していないといけません。間違えるとガツンと指摘されるので凹むのですが、自分の未熟さを思い知らされて「もっとがんばらなくちゃ」と闘志が湧きます。文章一つひとつを理詰めで詳しく説明してくれるので、今までなんとなくわかったつもりになっていた文法や英文の構造も、ほんの表面しか理解していなかったことに気づきました。負けず嫌いなので、友達ががんばっている姿に刺激を受けて勉強量が増えました。

英語の勉強に真剣に取り組むようになったことで「英語を使った仕事がしたい」という夢が明確になりつつあります。やったらやるだけ成果が出るし、力も伸びる。今、改めて自分の成長を実感しています。


教育学部 英語コミュニケーション学科(当時)
2年 眞喜志 康樹 さん
(沖縄県立具志川高等学校出身)

実質約4ヶ月でTOEICスコア270点アップ!英語を学び、将来の視野が広がりました。

点数はまだまだですが、1年前に比べるとスコアは倍になりました。数字で成長が分かるので充実感があります。高校までは自発的な勉強が苦手で、よく怠けていましたが、「TOEIC対策」を受けたことで学習意欲に火がつきました。今は、通学中でもヒマさえあれば単語帳を開いたり、オバマ元アメリカ大統領のスピーチを繰り返し聞いたり......と、英語に触れる時間を増やしています。自分でも「変わることができたな」と思います。

横山先生は常に満点狙いで一切妥協がなく、授業は本当に大変ですが、分からないところは同じことを何度も粘り強く教えてくれ「何が足りないか、何をすべきか」に気づかせてくれます。厳しいけれど、僕をとことん信じてチャンスをくれる。本当に信頼できる大人に初めて会ったような気がします。この思いに応えるためにも頑張るしかありません。実際にこれまでの人生で一番勉強していると思います。

英語を学ぶと、世界の文化や歴史など、さまざまなことに興味が湧くので、視野も広がりました。これからは英語を使って、故郷・沖縄とアメリカとの関わりについて研究してみたいと思っています。スポーツが好きなので、海外で活躍する日本人アスリートをサポートする仕事にも興味が湧いてきました。

【第一回】

2019年3月

2019年度の国際コミュニケーション学部発足に先がけ、英語の基礎力を養い、TOEICスコアの大幅アップを実現する短期集中プログラムがスタートしました。
監修・指導にあたったのは、気鋭のアメリカ研究者であり独自の長文読解メソッド「ロジカル・リーディング」を体系化した百戦錬磨の英語指導者として知られる横山雅彦准教授。
実質3か月程度 という短期間の取り組みにも関わらず、出席率上位3割が平均150点ものスコアアップを果たしました。特に伸び幅の大きかった2人の学生に、これまでの学び、そして、これからの目標について聞きました。

「文法」をインストールして英語が読める人になる!

─ まず、英語コミュニケーション学科を志望した理由を教えてください。

●濵田さん 僕は高校生のころは野球ばかりやっていて、 実は他大学にスポーツ推薦で進学する予定でした。 ところが入学直前に野球以外の可能性を考えたくなって、進路を一度白紙に戻したんです。その後、アメリカでのホームステイを経て英語に興味を持ち、同級生に2年遅れて大学に入りました。

●石平さん 僕は中学生のころに英語に興味を持ちました。人にものを教えるのも好きだったので、英語教師を志して関西国際大学を志望しました。

─ 最初に横山先生の授業を受けたときの印象はいかがでしたか。

●濵田さん 正直、全然分からなくて焦りました。

●石平さん 僕もです。でも、横山先生の授業は高校までの英語と全然違いました。 今まで「とにかく暗記しろ」と言われてきたことも、理屈で丁寧に教えてくれるんです。「今までの英語はすべて忘れて、ここでゼロから学び直そう」と、気持ちを入れ替えました。

●横山 最初は徹底して文法をやりましたね。英語の文法はパソコンのOSのようなもので、しっかりインストールしておかないと英語が起動できません。とはいえ、最初はわけが分からなくて大変だったと思います。

●濵田さん 「何でも質問して」と言われていたので、本当に何度も何度も先生の研究室に通いました。そして、とにかく自分でも復習しないとダメだと思って自習もがんばりました。 最初は「勉強しよう」と思っても、ついケータイをいじったりしていましたが、先生がすごく励ましてくれて、夏ごろには毎日の勉強が日課になりました。

●石平さん 僕も高校までは自宅で勉強する習慣がなかったんですが、大学生になってからは自宅でも集中して勉強できるようになったので、両親が驚いています (笑) 。

─ 「分かった!」と思えるブレイクスルーはいつでしたか。

●濵田さん 夏ごろです。英文を読んでいると「これは○文型だな」と自然に分かるようになって......。

●石平さん 僕もです。名詞、形容詞、副詞の節が理解できるようになると長い文章でもだいぶ楽に読めるんですね。

●横山 そう!5文型が分かればこっちのものです。英文はどんなに複雑なものでも、必ず5文型のどれかに当てはまります。文型が分かれば文章の構造がクリアになって意味がつかめる。だから5文型は本当にしつこくやりましたよね。その甲斐がありました。

半年でスコアが200点ア ップ1年後に900点をめざす

─ 具体的なTOEIC対策はどのような内容でしたか。

●横山 昨年6月、始めてチャレンジしたTOEICのスコアは、石平くんが400点台前半、濵田くんは300点に満たない得点でした。 私は 「来年の6月までの1年間でスコアを倍にしよう」と話したと思います。とはいえ、春・夏は文法しかやっていませんから、実際にTOEIC対策を始めたのは秋学期からです。軸になるのは週1回の対策授業。それに加えて、学修支援センターで毎日、昼休みの30分間を利用してパートごとに実践形式の模擬テストを受けてもらいました。石平くんも濵田くんもこれらのプログラムに皆勤で参加してくれましたね。

●石平さん 先生のおかげで文法はある程度分かるようになりましたが、実際に問題を解くと単語力のなさを痛感しました。

●横山 TOEICは基本的にビジネス英語だから単語が独特だよね。どうやって語彙を増やしたの?

●石平さん 「記憶は寝ている間に定着する」と聞いたので、ベ ッドの横に単語帳を置いて寝る前に見ています。そして翌朝、覚えているかどうかを確認するんです。

●濵田さん 僕は横山先生から推薦してもらった参考書の単語をひたすら覚えました。通学中の電車の中で本を開いて、帰宅するとノートに書く。それをセクションごとに繰り返ました。

●横山 長文読解対策もまだまだ不十分なので、苦戦していると思います。

●濵田さん 問題が多くて、時間が全然足りません。ただ、横山先生に「飛ばし読みをしたり、問題文を先に読むのはダメ」と教わったので、とにかく速く読むしかないと思って量を読むようにしています。実際、毎日読むことで少しずつスピードが上がってきました。

●石平さん リーデ ィングの授業で使う長文も、1回目は分からない単語を飛ばしてざっと意味をつかむのですが、その後の復習では単語をちゃんと調べて繰り返し読むようにしています。

●横山 素晴らしい。 小手先のテクニックを使うより、正攻法でしっかり読む方が結果的には効率がいいんです。

─ リスニングはどうですか。

●横山 私の授業でも音読を取り入れていますが、それ以上に本学にはネイティブ教員のオールイングリッシュの授業が充実していて、リスニング試験にかなり役立っていると思います。

●濵田さん はい。横山先生からも聞き取りのコツを教わっていますし、授業で耳が慣れて、リスニングは半年でかなり自信がつきました。

─ そして、12月に受けた2回目のTOEICでは、ふたりとも大きくスコアを伸ばしましたね。

●濵田さん 僕は200点以上スコアが上がって500点台まであと少しです。

●石平さん 僕は240点アップの670点です。模試では最高730点までいったので、6月には800点に乗せたいです。

●横山 絶対にいけるよ。4月からは、長文も含めてさらに追い込みをかけるから、900点だって夢じゃない。次のステップでは、留学を見据えたTOEFLにチャレンジしていきましょう。

英語を学ぶことで夢がどんどん広がっていく

─ 英語をしっかり学んだことで変化したことはありますか。

●濵田さん 日本語と英語って、似たような単語でも意味がかなり違いますよね。たとえば「作る」と「make」では、示す範囲が全く違います。英語を学ぶことで言葉をより広いイメージで理解するようになりました。

●石平さん 言葉の背景にある文化も違うから、日本語で考えたことをそのまま英語にしても意味がうまく伝わりませんよね。これからは、もっと英語で考えられるようになりたいと思っています。

●横山 そこが英語を学ぶ面白さですね。英語を本当の意味で読めるようになるには、政治、社会、宗教、文化など幅広い知識が必要です。そういう意味では、語学ってすごくリベラルアーツに近いんですよ。だから英語を学べば知識欲もどんどん広がっていく。世界を広げるためにも、まずはここで英語に全身全霊でぶつかって、「英語バカ」といわれるぐらいになってほしい。そのための環境は用意できていると思います。

─ 将来は、英語力を生かしてどんなことがしたいですか。

●濵田さん まずはアメリカ留学のための語学力をつけたいです。日米の教育の違いも調べてみたいです。

●石平さん 横山先生のように、英語の面白さをたくさんの人に伝えられる教師になりたいです。僕が入学した年に横山先生が着任されたことは運命だと思っているので、これからも背中を追いかけます。

●横山 TOEICの高得点はあくまで通過点ですが、大きくスコアを伸ばしたという成功体験は、確実に自分の中に残ります。そのためのお手伝いができたことが本当に嬉しい。何十年も英語を教えてきた私自身、ここまで大きく伸びるのを目撃したのは初めてです。よくついてきてくれました。誇りに思っています。

─ 最後に高校生にメッセージをお願いします。

●濵田さん 僕はずっと勉強ができないというコンプレックスがありました。でも、勉強したいという気持ちさえあれば、この大学では、先生方がしっかりサポートしてくれます。勉強が苦手な人も安心して学んでほしい。そうすれば将来の選択肢が広がると思います。

●石平さん 今、英語ができるとかできないとか、気にする必要はありません。「英語をしっかりやっていこう」 という気持ちがある人は、必ず伸びると思うので、ぜひ入学してきてほしいと思います。

横⼭ 雅彦 教授

東京外国語⼤学⼤学院
地域⽂ 化研究科 ヨーロッパ第⼀専攻 地域研究コース 修⼠課程修了 修⼠(国際学)
著書
『横⼭雅彦の英語⻑⽂が ロジカルに読める本』
『ロジカ ル・リーディング──三⾓ロジ ックで英語がすんなり読める』 等