看護学研究科 看護学専攻 博士前期課程

博士前期課程では、看護の課題を科学的に探求しながら、医療の高度化・専門化に対応する高度な看護実践能力を備え た高度専門職業人の養成、大学周辺地域の少子・高齢化に対応する保健・医療・福祉の課題探求と環境調整、多職種協 働を牽引する人材の育成、そして、看護学生や看護師の教育・研修を担い、更に臨床での専門性を深める研究能力を有す る人材の育成を目的としています。
将来は、より高度な看護実践を行いながら、リーダーシップを発揮できる高度専門職者、 臨床の指導者として学生の臨地実習教育を担う者、また看護師への看護実践や研究の教育・指導力を発揮する現任教育者 の役割で活躍してくれることを期待しています。

博士前期課程の特色

1.看護職を続けながら、修士の学位の取得が可能
大学院設置基準14条には、勤務しながら大学院に在籍し、修学を可能にする特例措置が謳われています。本学の看護学研究科は、その精神に沿って、夏期や冬期の集中講義の受講などで、看護職として働きながら修士の学位取得ができます。(修士論文コースのみ)

博士前期課程のカリキュラムは3つの科目群から編成されています。
1.共通科目: 看護学研究方法論、看護倫理、フィジカルアセスメントなどの看護学の基礎的知識・技術を習得する科目群
2.専門科目: 専門領域における知識・技術を習得しフィールドワークを行う科目群
3.特別研究・課題研究: 看護実践で生じた課題を調査分析し学位論文としてまとめる科目群

2. 専門看護師(CNS)コースを履修し、専門看護師をめざすことが可能
急性・重症患者専門看護師をめざすクリティカルケア(ICU、CCU、HCU等)、救急看護の臨床経験を持っている者を対象に、2年間で38単位を履修する専門看護師(CNS)コースを開設いたしました。医療機関との密接な連携のもと、専門性の高いカリキュラムが展開されます。課題研究では、クリティカルケア、救急看護、急性重症患者看護専門看護師の役割等に関する課題について研究指導を行います。

修士論文コース

看護学の学術理論および応用、最新の看護実践科学を学び、各専門分野・領域における看護の課題を科学的に探究し、看護実践能力と研究能力を培うことをめざすコースです。専門分野・領域を選択し、2年間で「共通科目」「専門科目」30単位以上を履修します。特別研究では、選択した専門領域で指導を受けて研究を実施し、修士論文を作成します。

<専門分野・領域>

基盤看護学分野

基礎看護学領域

看護とは何か、効果的なケアとは、良好な患者―看護師関係とは、看護学基礎教育に求められるものは何か、等、臨床等での経験における気づき・思いを理論的・科学的に追究します。そこから明らかになった疑問・課題を研究に結び付け、研究の基礎的能力を身につけるとともに、看護の本質を探究し続ける基盤を育成することをめざします。

療養支援看護学分野

急性看護学領域

急性看護学領域は、周手術期看護学、クリティカルケア看護学、救急看護学などの急性期にある患者・家族の生命の維持と回復をめざした看護について探求します。研究テーマは、急性期リハビリテーション、患者教育、トータルペインとペインコントロールなど急性期患者・家族の苦痛を緩和する援助、家族の代理意思決定支援、終末期医療の決定、倫理調整など、急性看護学領域の実践で生じる課題に取り組んでいます。

慢性看護学領域

慢性疾患や障がいをもちながら生活する人とその家族への看護によく用いられる概念や理論について探究するとともに、実践および研究への適用について検討します。具体的な研究課題として、心臓手術を選択するまでの高齢患者の思い、高齢患者が心臓手術を受けることを意思決定するプロセスを支える援助に取り組んでいます。

がん看護学領域

がん患者と家族への看護によく用いられる概念や理論について探究するとともに、実践および研究への適用について検討します。具体的な研究課題として、診断から治療過程におけるがん患者のゆらぎ、がんサバイバーのピア・サポートの活動を行う原動力の影響要因、がん相談支援センターを訪れるがん患者のニーズ、高齢がん患者が自分らしく生きようとする意思決定に影響する要因、進行肺がん患者の病の体験の意味づけなどに取り組んでいます。

精神看護学領域

精神看護学領域では、精神的な健康問題がある人達の看護支援、ストレングスモデル、自己決定、セルフケア、地域包括システムおよび支援、自殺対策、ビリーブメントケア、看護師自身のストレスマネージメントなど、メンタルヘルスに関連した理論や援助方法を科学的に探究し、実践の場で役立つ研究を検討します。研究テーマは、臨床での経験や興味に応じて設定し、その成果を臨床での看護活動に活かしていけるように取り組んでいます。

家族支援看護学分野

小児看護学領域

少子化における子どもと家族を取り巻く社会状況をふまえ、子どもの成長発達の特性および家族の関係性、さらに健康に課題がある子どもとその家族を支えるための主な知見について学び、看護実践への活用方法を探求します。研究課題は履修生の関心をもとに子どもと家族に関わる現象を焦点化し、新たな知見を論文としてまとめます。

母性看護学領域

女性の健康、周産期における母子とその家族の健康をめぐる看護課題を探求し、現象の理解とともに看護提供方法の開発に取り組みます。その成果が、看護実践、看護教育、さらには看護管理や新たな政策提言等につながる研究になることを期待し、ともに学びを深めましょう。

生活支援看護学分野

老年看護学領域

老年看護学は高齢者の人生経験や価値観を大切にし、尊厳のある生活を続けるための援助、あるいはその方らしい人生の最終章を送れるような関わりを、看護学の視点から研究開発していく領域です。これまでの高齢患者さんとの看護実践で感じていた思いを、研究テーマにつなげていけるようお手伝いしていきたいと思います。研究テーマ例は、病院や高齢者施設での認知症を持つ高齢者との関わりや家族の支援、在宅につなげる多職種ケア連携、エンドオブライフケアなど、多岐にわたります。

在宅看護学領域

在宅看護は、近年在宅療養者数や多様なニーズの増加等により重要な役割を担い、その質的向上が求められています。在宅看護学領域は、訪問看護、在宅医療、在宅ケアに関わる課題について、広く研究を行う領域です。研究テーマでは、あらゆる健康状態にある療養者と家族に対する支援や経営管理、職務満足、現任教育、緊急時対応、看護判断力を高める教材開発等訪問看護実践に求められる課題等に対して、研究を行っている領域です。

公衆衛生看護学領域

地域で生活するあらゆる健康レベルの人々への健康支援、疾病予防および健康課題を解決するための方策を検討するとともに健康問題を抱え地域で暮らしつつ療養する人々への効果的なケアの開発および地域全体のケアシステム構築について探求します。具体的な研究課題として保健師による虐待防止への支援やケアシステムづくり、発達障害児・家族への支援および地域で療養している人々・家族への支援、健康格差の課題などに取り組んでいます。

専門看護師(CNS)コース

急性・重症患者看護専門看護師をめざす クリティカルケア(ICU、CCU、HCU等)、救急看護の分野で5年以上の臨床経験をもっている看護師を対象に、2年間で38単位を履修する専門看護師(CNS)コースを開設しています。医療機関との密接な連携のも、先進医療に対応した専門性の高いカリキュラムが展開されます。
課題研究では、クリティカルケア、救急看護、急性・重症患者看護専門看護師の役割などに関する課題について、研究指導を行います。
大学院修了後、クリティカルケア、救急看護等の分野で、急性・重傷患者のケアに携わり、専門看護師の役割に関する臨床事例等をまとめることにより、日本看護協会の急性重症看護専門看護師認定試験受験資格審査を受けることができ、一次審査(書類審査)に合格すれば二次審査を受験できます。

<充実した実習・演習>

ICU、CCU、SCU、救命救急センター、救急部等でクリティカルケアを行っている病院で実習し、高度な実践・コンサルテーション・コーディネーション・倫理調整・教育・研究などの専門看護師の役割について、臨床で活躍している急性・重傷看護専門看護師等から指導を受け、専門看護師をめざし、臨床実践能力を高めます。さらに、看護実践内容をケーススタディーとしてまとめる過程を通して、専門看護師としてのケアの在り方を検討します。

博士前期課程の主な教員紹介

学費

学費・奨学金」をご覧ください。

◇ 長期履修制度について

仕事等を続けながら学ぼうとする社会人などに配慮し、入学時から標準修業年限を超える履修計画を立てて学ぶことができる制度です。希望する場合は、本学所定の様式(本学ホームページからダウンロードしてください)にて申請を行う必要があります。手続機会は原則として出願時としますが、入学後の状況変化も考慮、学びを継続しやすいよう、在学期間中1回に限り履修年限を変更することを検討しています。ただし、変更申請ができる学年や申請時期は、家庭により異なりますので、入学後に担当している部局に必ず確認してください。
また、入学後の変更に伴う年度の授業料は、授業料総額から納入額を減じて「未納入額」とし、それを修了までに残る修学年数で均等按分した額を当年度の納入する授業料とします。

詳しくは、入試課(078-341-1615)までお問い合わせください。

その他

研究領域および事前相談について

研究領域は、基礎看護学(基盤看護学分野)、急性看護学・慢性看護学・がん看護学・精神看護学(療養支援看護学分野)、小児看護学・母性看護学(家族支援看護学分野)、老年看護学・在宅看護学・公衆衛生看護学(生活支援看護学分野)となります。
なお、療養支援看護学分野の急性看護学領域については、専門看護師(CNS)コースが併設されています。

出願を希望する方は、出願(出願手続き)に先立ち、希望する領域の指導教員と連絡を取り、入学後の研究・履修内容等について事前相談をしてください。

設置キャンパス

三木キャンパス 〒673-0521 三木市志染町青山1丁目18番

「三木キャンパス」アクセス

お問い合わせ先

コース内容・看護学領域の決定など、修士課程全般のご相談、資格審査の手続きや入試全般のご相談について

関西国際大学 神戸山手キャンパス 入試課

TEL:078-341-1615 FAX:078-351-7172 E-mail:exam@kuins.ac.jp

開室時間 :月曜日〜金曜日9:30〜17:00(土・日・祝日は除く)