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    心理学科コラム

    202005.21
    心理学科コラム

    【心理学部】『心理療法と運動・スポーツ』

    心理療法と運動・スポーツは一見、無縁のように思われるかもしれませんが、心理療法の一環として、運動・スポーツの有効性が認められつつあることはご存じでしょうか。

    心理療法として、絵画や音楽などを用いた芸術療法が既に認められていますが、同様に、運動・スポーツを用いた運動療法も心理療法の一つとして、可能性を秘めています。

    運動療法は従来、生活習慣病の予防や治療といった身体疾患に対して用いられてきました。しかし、近年は精神疾患に対しても有効性が報告され、うつ病や統合失調症などの治療で補助的に用いられるようになってきました。

    運動・スポーツの種類には、ダンスやジョギング、フットサルといった短い時間で軽く身体を動かし、日常的に取り組みやすいものもあれば、キャンプや野外活動といった自然の中で長時間行う活動もあります。

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    本学では、近隣の精神科病院の利用者や特別支援学校の生徒と、学生との間で月に一度、フットサルの交流会を開いています。また、心理的成長を目指す10人ほどの参加者と数名のファシリテーターで行うグループ体験「エンカウンター・グループ」を毎年、大学生や社会人を対象に実践しています。
    通常は研修施設や温泉地などの宿泊施設に3、4日宿泊し、自由に語らいます。われわれはそれをキャンプ場で行い、テント泊や野外炊事といった自然体験活動をベースとして行っています。

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    なぜ、キャンプ場か。

    複雑化する社会生活の中では「私を生きる」ことが難しくなる時があります。しかし、山中での自然体験活動では、不便な環境だからこそ、そこに主体的に生きる私を感じられるという特徴があります。
    そして、生きていくための活動を通し、身体を動かしながら他者と協働することで、語らいの場における言語的な交流が促進されるという特徴もあります。

    活動中は何かを強いられるということはなく、他者とともにいても、1人でいてもいい。それぞれが尊重され、自由にして守られた場所の中で、他者や自己の内面との対話が展開されていきます。

    このように運動・スポーツには、心と身体を動かしながら精神疾患の治療や心理的成長に寄与する可能性が秘められており、その有効性を示す実践の積み重ねが今後必要となります。

    【心理学部 松井 幸太 准教授】

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