看護学科コラム

202101.12
看護学科コラム

【看護学科】『小児看護とクリニクラウン(小児看護援助論特別講義)』

昨年度より、小児看護援助論の特別講義として、クリニクラウン(※1)の方に講義に来ていただいている。

特別講義の目的は、学生達が子どもとの関わりに役立てられるスキルを知ってもらうためである。かつての私もそうではあったが、学生達はこれまで子ども達と関わる機会をもっていないことが多い。入院している子ども達は病院という慣れない環境で生活することや病気の症状による苦痛などから不機嫌となり、看護学生を見ただけで泣き出してしまうことも多く、学生達は子どもへの看護を実践するより前に子どもとのコミュニケーションの段階で壁にぶつかってしまう。

さて、特別講義の方はどうだっただろう。今年度は感染予防策を十分に取りながら、密を避けるために体育館で講義とワークショップを行った。

前半はクリニクラウンとは、クリニクラウンの活動の実際についての講義を行っていただいた。私とクリニクラウンとの出会いは臨床現場における定期的な病棟訪問の機会である。しかし、臨床現場においては、クラウンの方々と直接、話す機会はなく、突然、病棟にやってきては、子ども達を楽しませ(中にはびっくりして泣いてしまう子どももいた)、嵐のように過ぎ去っていくそんな存在であった。
講義を聞くことで、私自身がクリニクラウンの活動は子どもだけでなく、子どもの環境をつくりだす家族や病院スタッフにも影響を与えることも目的となっていることを知った。

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特別講義の目的とした子どもとのコミュニケーションについては、言葉以外でのコミュニケーションや子ども時間、子どもが中心であることの大切さを教えていただいた。さらに、子どもに泣かれたり、暴言を吐かれたりすることについて、子どもが気持ちを表現できている、子どもの気持ちに良い悪いはないという捉え方について振り返りの機会となった。

後半はコミュニケーションワークである。
様々なワークを通して、学生達は伝達とコミュニケーションとの違い、コミュニケーションに伴って様々な気持ちが起こること、グループの中での自分の役割、身体をほぐし、一緒に共通の体験をすることの大切さについて身をもって体験することができた。
一方、子どもの様子をしっかりと観察しようとするあまり、じろじろと見ないように(笑)といったことも伝えていただいた。

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学生の感想をいくつか挙げてみたい。

まず、授業において私も伝えていることでもあるが、入院している子どもの思いを知ったようだ。
「入院中の子どもが大人に気を遣っていることを知った」「子どもは大人や看護師の表情をよく見ている」「たくさん我慢していることや寂しい思いをしていることを知って心が苦しくなった」など。

次に、クリニクラウンの活動についても学ぶことができた。
「クリニクラウンは入院中の子ども達が笑顔になれる活動だとわかりました」「子ども達のためにいろいろなことをしてる姿がいいなと思った」

特別講義の目的としていた子どもとの関わり方についても、多くのことを学んだようだ。
「笑顔が大切だと思った」「笑顔で接したい」「第1印象を大切にしたい」「子どもが心の扉を開いてくれるタイミングを待てるようにしたい」「(子どもが)心を開いてくれた瞬間をしっかり観察したい」「自分も楽しむことが大切だ」「自分自身がオープンになって相手に興味を持って接したい」「真摯に向き合うことが私たちにできること」「もっと声のトーンや表情を変えると相手にも色んなことが伝わる」など。

以下は予想していなかった特別講義の副次的効果であった。まず、ワークによって学生同士がお互いを知る機会ともなったようだ。
「普段かかわったことのないクラスメイトとも話すきっかけとなった」「いつも一緒にいる仲の良い友達と離れたことで、よく知らなかった友達のことを知れて、こんな子なんだ、こんな楽しく話せる子なんだと新しい発見もありました」など。

また、コロナ禍で学生達も様々な制限がされている中で今回の授業が気分転換となったようだ。
「楽しかった」「ストレス発散できた」「身体を動かして広い場所で授業を受けたこと、最近全力で楽しむ事をしていなかったので、今日の授業でわくわく感が戻ってきました」など。

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特別講義はもちろん学生達に学んでもらうためではあるが、教える側が楽しみながら授業ができているだろうか?学生からの否定的な反応を『良い・悪い』なく捉えられているだろうか?といったように教員としての自分自身について振り返る機会ともなっている。

※1:クリニクラウンとは?
Clinic(病院)+Clown(道化師)=CliniClowns(臨床道化師)、病院を訪問する道化師のことである。クリニクラウンになるための研修を受け、試験に合格した人々である。

【保健医療学部 看護学科 本田 真也 講師】

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