看護学科コラム

202103.02
看護学科コラム

【看護学科】『 Nursing NOWに思う新型コロナウイルス感染症対策 』

2020年は、世界中で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいました。今なお、収束の道途上でありますが、奇しくも、2020年は看護師と言えば・・と質問すると、誰もが思い浮かべることのできるフローレンス・ナイチンゲール:Florence Nightingale(1820-1910)の生誕から200年を『看護は世紀を超えて進化する』という、世界の看護師達による"Nursing NOW"キャンペーンの最中でもありました。

ナイチンゲールは、イギリスの看護師であり、社会起業家、統計学者、看護教育学者であり、「近代看護の母」ともいわれています。その理由は、クリミア戦争(1853-56)での負傷兵への献身が有名ですが、実は負傷兵への看護として、当初の死亡率42%の負傷兵の死亡原因を探求すると大多数が傷そのものより、収容施設(病院等)の不衛生により蔓延する感染症であると気づき、換気、清潔な寝具や衣類、ベッドや床の清掃や消毒、食事等を次々と改善し、死亡率を5%にまで軽減します。
疫学統計を取り、追跡し、いわゆるエビデンス(証拠)に基づくケアを確立していきます。

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これらの実践を記録し、イギリス王国に報告をするといった行動をとることで彼女の活動が大きく評価されました。その成果の一つとして、ロンドンに聖トーマス病院付属ナイチンゲール看護学校が設立されました(現Kings College London)。海外渡航が可能になったら、是非にナイチンゲール博物館を訪れて下さい。

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最初の看護の教科書'Notes on Nursing'看護覚書(1860)には次のようにあります。

「看護とは」人の生命力の消耗を最小限に整えることを意味する技術、すなわち人の自然な治癒力を邪魔せず、適切に促す手助けである。言い換えれば生命の潜在力を引き出し高める技術と考えることができるだろう。
看護とは、新鮮な空気、陽光、温かさ、清潔さ、静かさを適切に保ち、食事を適切に選択し管理すること。こういったこと(生活)のすべてを、患者の生命力の消耗を最小にするように整えることを意味すべきであると書かれている。

もちろん、医学に基づき内服や手術といった治療にも深く関わりますが、看護の基本を気づかせられた"Nursing NOW"の1年間でした。看護師でよかった。

【保健医療学部 看護学科 遠藤 俊子 教授】

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