観光学科コラム

202108.23
観光学科コラム

【観光学科】「8月12日は忘れられない日です。」

今年の夏はオリンピックで盛り上がる一方で、コロナ感染が急拡大し、災害級の惨事となっています。

そうした中、毎年8月15日の終戦記念日を中心に戦争の災禍を振り返る報道も多くなります。こうした戦災に加えて、航空会社の職員にとっては8月12日が忘れられない日となっています。なぜなら、この日に世界的にも未曽有の航空機事故が日本で発生したからです。


羽田発伊丹行きの日本航空123便が圧力隔壁の破損により群馬県御巣鷹山に墜落した事故は、今から36年前の1985年8月12日に発生しました。乗員乗客524名のうち520名が死亡するという大惨事となり、現在でも単独機の事故としては最も犠牲者の多い悲惨な事故となっています。

今でも遺族による事故当日の御巣鷹山への慰霊登山や日本航空の新入社員による慰霊登山などが毎年行なわれています。


航空会社ではこうした悲惨な事故を二度と繰り返さないために、安全運航に向けた様々な活動を行っています。

その中でも、不具合発生に関する情報を収集・分析し、適切に評価し、その対策を立案・実施するというリスクマネジメントは安全推進において特に重要な活動です。このリスクマネジメントの土台となるのは、適切な情報収集であることは間違いありませんが、その情報は何もしなくても自然に集まるような情報でしょうか?


多くの事故が人間の操作ミスなどのヒューマンエラーにより発生します。

そのエラーに関する情報は、もちろん故意に行ったものではありませんが、実際にミスを犯した本人にとって自ら進んで報告するような情報ではありません。皆さんも、自分の犯した過ちを他人に報告することの恥ずかしさを考えれば、その気持ちがわかるはずです。それでも正確かつ迅速に、発生したエラーに関する情報を報告してもらわなければ適切な対策を講じることができません。


では、どのようにすることで正確かつ迅速な報告が可能となるのでしょうか?


報告しなければ罰を与えるといった強制的な方法では、ミスの本当の原因を隠してしまうことが考えられます。逆にミスを報告しても不利益な扱いをされないという保証が必要です。そして自分の犯したミスが将来発生するかもしれない重大なミスを防ぐことにつながるのだから、正確かつ迅速にミスを報告することが大事であるという認識を組織の全員が共有することです。


組織内の信頼関係を着実に深めていくことにより、こうした認識を共有することが悲惨な事故を未然に防いでいくことにつながります。

 

国際コミュニケーション学部 観光学科 安藤 正裕

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