看護学科コラム

202110.13
看護学科コラム

【看護学科】継続は力なり ~研究も楽しみながら~

私は看護教育と助産教育を専門学校で学んだので、専門職として教員をしていても、学歴は高卒でした。

そこで、40歳の秋、思い切って慶應義塾大学の文学部哲学科の門をたたいたのです。


仕事をしながら卒業を目指して毎年少しずつ単位を取得し、5年かけて卒業することができました。挫折しそうになった時、私の脳裏に宗教家の住岡夜晃の「継続は力なり」という言葉を思い描き、とにかく続けるという一念でレポートを書き続けました。この時の学びはその後の私に大きな力をつけてくれ、現在の研究・教育活動の土台になっています。

続けるということは、忍耐力を養い、知らない間に実力をつけてくれます。今年、1年生のアドバイザーになり、学生と一緒に伊藤真の「続ける力」を読み、改めて続けることの大切さ、そこから得られる人生の宝物、自身の能力が磨かれる喜びに浸り、これまで様々な研究活動を続けてきてよかったと思っています。


現在取り組んでいる研究活動の一つに助産診断名の開発があります。これは1990年から続けており、約30年になります。

助産師教育をしていた教員達と研究会を組織して、その研究成果を2000年にマタニティ診断ガイドブックとして医学書院から出版し、その後3年ごとに版を重ねて2020年に第6版を出版しました。まさに「継続は力なり」です。


2000年に当時所属していた東邦大学の関係者と設立した「日本母子看護学会」は昨年20周年を迎えました。その間、手作りでスタートした機関誌も今では電子ジャーナルとなり、投稿される論文も多く、質も高くなってきて、2021年には、論文に国際的識別子(Digital Object Identifier:DOI)が付与されるようになり、恒久的に価値あるものになりました。


「石の上にも3年」といいますが、自分の夢の実現を目指して毎日の学習をコツコツと地道に続ければ、「努力に勝る天才なし」で、人生の美しい花が開くことでしょう。

今年のノーベル物理学賞に真鍋淑郎さんが選ばれました。氏は90年の人生の中で、「おもしろいこと」に熱中してやってきただけと好奇心をもつことの大切さを謙虚に話されていました。研究は楽しくないと続きません。「研究を楽しもう」というのも、私のゼミでは一つの合言葉にしています。

好奇心をもって解明していく過程を楽しまないと、長続きしません。自分のやってみたいことを楽しんで努力を続けていれば結果は後からおのずとついてくるものなのです。

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保健医療学部 看護学科 教授 齋藤 益子

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