看護学科コラム

202110.20
看護学科コラム

【看護学科】看護と国際協力

看護職というと、病院で白衣を着て患者さんのために働いているというイメージが大きいのではないでしょうか。

日本看護協会の倫理綱領では、その前文において「看護は、あらゆる場所のあらゆる人を対象に、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、生涯を通して最期まで、その人らしく人生を全うできるようその人のもつ力に働きかけながら支援することを目的としている。看護職は、人々の生きる権利、尊厳を保持される権利、敬意のこもった看護を受ける権利、平等な看護を受ける権利などの人権を尊重することが求められる。」という内容が述べられています。


世界のおよそ8割が開発途上国とされており、貧困ゆえに飢餓に苦しみ、病気にかかり死に至りやすい状況にあります。教育を受けられず困窮した生活や不衛生な環境の中で人生を送るのです。また、信仰や思想の違いから迫害を受けて生命の危機にさらされる人々もいます。安住の地を追われて難民として自由のない暮らしを過ごします。


世界(もちろん日本も含めて)においては、地理や風土、思想や宗教などによって独特な文化が生まれ、人々の生活の中で大切に受け継がれています。それぞれは人間の編み出した知恵によって創造されたもので、いずれも美しく素晴らしく敬意を払うものです。しかし、その中でも紛争や災害、差別や迫害、貧困によって苦しむ人々がいるのも確かです。彼らの不安、心配、恐怖、絶望を想像してみてください。そのような人々に対し、「生命、健康、生活、尊厳」を守り全人的にケアを施す看護は絶大なる力を発揮します。それは看護の理念である、あらゆる場のあらゆる人を対象とするという普遍性に基づきます。


困難に直面した人々に対し、世界中の一人一人がもつそれぞれの文化を尊重してケアを実践することこそ身体的・精神的・社会的な安全と安心と安寧をもたらすのです。

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保健医療学部 看護学科 教授 伊藤 尚子

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