看護学科コラム

202111.11
看護学科コラム

【看護学科】性行為で感染する「性感染症」を知っていますか?

2年前から新型コロナウイルス感染症との闘いの連続で、世界中で感染症に対する関心が高まっています。予防行動も日常的になり、感染予防の為に人との接触を避け、距離を保った生活が一般的になる中で、性的接触も制限されて、今やプラトニックラブが主流になってきたとの話も聞きます。しかし、パートナーとの関係性は性的接触を持ったかどうかで大きく異なります。全くの他人なのに性行為をもつことで、最も身近な存在になり、身内よりも大切な存在になるので不思議です。性を共有するパートナーの存在は、人生のなかで生きるエネルギーの源にもなるものでその存在は大きいものです。


愛の営みの陰で、注意しなければならないのが、「性感染症」で、これの主なものには淋菌感染、クラミジア感染、ヘルペス感染、尖圭コンジローマの4疾患があり、毎年特定の施設を定点として報告されます。また、全数届け出が義務付けられている「梅毒」、「HIV/AID」もあります。さらに、昨今HPV(ヒトパピローマウイルス)、ATLV-1などの感染も重要になってきています。


性感染症は、確実な予防行動をとることで感染を避けることが出来ます。コロナの感染防止と同様に性感染症も予防が必要なのです。先に述べた4疾患のなかで最も感染率の高いクラミジア感染症ですが、2020年の報告では、20歳代の増加傾向が指摘されました。高校生の相談の中でも、性的接触をした後に「もしかしたら性感染症に感染したのではないか」と、心配して相談してくるケースがあります。まさに「後悔先に立たず」で、気が付いた時には感染してしまっていることがあります。


図は女性の年代別性器クラミジア感染症の動向を示したものです(国立感染症研究所の報告)。20歳代の若い女性の感染率が高いことが判ります。

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性感染症を予防するためには、

①性行為の前にお互いの感染の有無を確認する

②特定の相手とのみ性行為をする

③感染の有無が分からない時は確実にコンドームを使用する

ことが大切です。


女性の性器は性行為で傷つきやすく、腟は粘膜が多いため、男性よりも感染しやすいのです。恋人が出来たら、性感染症についても話せる関係を作りたいものです。


保健医療学部 看護学科 教授 齋藤 益子

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