観光学科コラム

202111.17
観光学科コラム

【観光学科】個が作るモノと集団が創るモノ

秋の学園祭シーズンを迎えている。今年は学園祭を実施する大学が増えているようだ。コロナ禍の影響で去年はほとんどの大学で学園祭は中止となり、年に1度の学生主催の楽しい時間と空間を経験することなく卒業した学生たちの顔が思い浮かぶ。密を避けるために多くの学生が友達と同じ空間を過ごすことが出来ず、ひっそりと過ごした時間が流れた。


集団とは個が集まって作るモノである。よって個と個が同じ空間に存在することが絶対条件となる。コロナ禍ではこの絶対条件が叶えられず、集団を形成することが出来ない状況が続いた。


では、集団が創るモノとは何だろうか。


子供の頃から人と接する際の行動の基本は、身を美しくすると書く「躾(しつけ)」として親や先生から教わった。躾は集団の中で自分自身に向けた我慢や倫理という「理性」を育み、他人に向けた思いやりや優しさは「感性」を創造する。個を形成する躾が理性を磨くことを意識することに対して、集団が創造する個は理性に感性が響き、化学反応を起こすことでホスピタリティとなって相手を魅了する。つまり個が集団を「作り」、集団が個を「創る」のである。


日常生活を取り戻しつつある今、人と人との接触の機会が増え始め、個を創造する集団を形成するイベントが復活し始めている。行動制限が残る中で実施された学園祭でも学生達の楽しそうな姿を見ることが出来た。そこは「理性」に思いやりや優しさという「感性」が化学反応を起こし、ホスピタリティの連鎖が生まれている空間だった。


マスクの下から聞こえた学生達の嬉しそうな声が頭に残る。


「みんなと一緒で楽しかった」

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国際コミュニケーション学部 観光学科 講師 小山 聖治

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