グローバルコミュニケーション学科コラム

202205.23
グローバルコミュニケーション学科コラム

【Gコミ学科】英語を話すのは苦手?(その3)

英語を話すことが苦手についてのシリーズ3回目です。

原因2)スピーキングの練習量が不足

世間で、日本の英語教育に対する批判として「英語を中高6年間も勉強したのに、日常会話もできない」という声をよく聞きます。この批判は、正しいのでしょうか?

もし、6年間スピーキングを中心に学んでも話せないのなら、それは教え方がマズいか、習う側の能力ややる気に問題があったのかもしれない、と考えられます。しかし、実情はそうではありません。中高の英語授業は、英会話学校とは違い、英語学習の基礎を学ぶ場で、スピーキングを重点的に指導しているのではないからです。

さらに、英語の授業で四技能とされる「話す、聞く、書く、読む」のバランスが悪いことは、指摘できます。多くの授業では、「読む・書く」の文字中心で、スピーキング軽視の傾向は否めません。その最大の理由は、大学・高校受験にスピーキングが含まれないからです。もっと言えば、「書く」についても、「和文英訳」程度の指導では、本物のライティングには程遠いと思われます。

最近、中学校の英語授業では、教師も生徒も英語を多く使う方向に転換しつつあり、教育実習でも多少の学校差はありますが、教育実習生に英語を多く使う授業を求めています。一方、高校はまだ保守的のようで、授業中に英語を使う機会は平均2割程度です(英語コースなどを除く)。

結論から言えば、学校でスピーキングを習っていないから、英語が話せないのは当然の結果です。また、「日常会話」を簡単なものだと思い込んでいる人が多いようですが、実はこれが曲者です。専門的な内容は、専門用語が分かっていれば、研究発表をしたり、学術講演を聴いて理解することは、それ程難しいことではありません。一方、日常会話を考えると、皆さんが、店に行って店員さんとする会話、駅員に乗換案内を尋ねる会話、理容・美容院で希望の髪型を伝える会話などを、英語で伝える場面を考えてみてください。これらが日常会話ですが、学校では習わない単語であったり、くだけた表現が必要になります。それは、かなり難しいことですね。イギリスに留学していた頃、初めて散髪屋に行く前に、「髪を梳く(すく)」という単語が分からず、辞書で調べたことを思い出します。

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【英語コミュニケーション学科 教授 有本 純】

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