看護学科コラム

202211.29
看護学科コラム

【看護学科】平時から備える在宅難病患者の災害対策

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近年では地震のほか土砂災害や水害等も増加しています。また災害に関するデータから、高齢者や障害者が災害により甚大な影響を受けることが明らかになっています。特に人工呼吸器を装着している在宅難病患者は、停電時の電源確保・避難など課題が多いため、個別避難計画の作成促進について以前から言われていました。

災害対策基本法が令和3年に改正され「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針の改定」として、優先度の高い避難行動要支援者についての個別避難計画の作成目標について市町村が主体となり、地域の実情に応じておおむね5年程度で作成に取り組むなど指針が示され、各市町で個別避難計画にむけて活動が進んでいます。

私は、2005年頃から災害について難病患者さんへの聞き取り調査や、アンケート調査、難病患者宅で行った災害時シミュレーション、防災訓練など研究を行ってきました。また今まで静岡県、愛知県、長野県、千葉県、大分県、宮崎県、大阪府、兵庫県尼崎市で「難病患者の災害時支援」について講演させていただき、今年度は1125日に、洲本市で講演する機会をいただきました。今回は『平時から備える在宅難病患者等の災害対策』をテーマに、私の講演の後に、洲本健康福祉事務所、南あわじ市危機管理部、あわじ広域消防課からの実践報告や、関西電力から停電時の対応についての情報提供、各市における避難行動要支援者への取り組みの報告があり、淡路圏域における災害対策の充実や意識の高さを感じました。

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コロナ禍のためオンラインで、淡路圏域の医療・福祉専門職50名(保健師、訪問看護師、歯科医師、理学療法士、社会福祉士、介護支援専門員、相談支援専門員等)の参加がありました。グループワークでは、それぞれの職種で今回の講演についての情報を共有し、今後自分たちにできることを考え、一部のグループに発表していただきました。医療・福祉関係者以外に行政防災担当の事務職員の方も参加され「具体的に人工呼吸器装着患者さんの療養状況や避難方法のイメージができました」という感想もいただきました。

今後も、在宅難病患者さんたちが安心して生活できるために、また災害時の支援体制構築へのお力になれるよう研究を続けていきたいと思っております。

【准教授 今福 恵子】

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