観光学科コラム

202306.19
観光学科コラム

【観光学科】体づくりと心づくり その1

私は週末によく近所の業務スーパーで買い物をしています。ごく普通の業務スーパーなのですが、外国食材の品揃いが豊富で、価格がお手頃なのが魅力的です。

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神戸にある業務スーパーで購入できる中国系調味料
「豆板醤」

豆バン醤、ナンプラー、棗、枸杞、竜眼、ヒマワリの種など日本家庭の食卓にそれほど登場しないような商品が行列に並んだ客たちを相手に次々と売れていきます。その買い手となる客の大半は日本人ではなく、日本に住んでいる外国にルーツを持つ住民なのです。店内の客は皮膚も髪も同じ色をして、顔つきと服装もそれほど区別がつかないです。彼らはスーパー内で会話せず、黙々と買い物するだけです。しかし、彼らの買い物かごの中身を見れば、大体どの国のルーツに持つのかがわかります。わたし自身だって、中国にいた子供の頃から食べ慣れてきた国民おやつ「ヒマワリの種」を何袋も入れているではないですか。そうではなければ、見た目も日本人と同じですし、しゃべりも日本語なので、誰も私が中国人だと思わないでしょう。

わたしは業務スーパーで手に入れた食材を使って家族の料理を作っています。料理は私たちの体を作ってくれる大切な栄養源です。食材は単に料理するための素材だけではなく、我々の身体を作る素材でもあります。業務スーパーの多国籍の食品と食材を見渡せば、多彩な住民たちの食文化と体作りの源を一望できるとも言えるでしょう。そういう意味で業務スーパーは日本社会の縮図のように見えます。

日本文化は「雑種文化」であると、かつて加藤周一が喝破しました。これからも日本文化の雑種化がさらに進化し続けるでしょう。「雑種文化」のほかにもハイブリッド、クレオール、複合文化などの言葉があります。わたしのような外国ルーツを持つ住民は日本人と同じくこの多様性に富んだ日本社会の環境で日々体を作り、心を作っているのです。今度はみなさんもスーパーで買い物する時に観察してみてください。ぜひ社会の多様性について自ら発見し考えてみてください。

【講師 劉 争】

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