観光学科コラム

202308.16
観光学科コラム

【観光学科】エアライン専攻  8月12日をご存じですか?

今年の夏は地球温暖化の影響もあり、非常に暑い日が続いています。例年、お盆の時期には全国高校野球選手権大会が甲子園で開催されますが、今年は選手たちが熱中症にならないか心配しながらの観戦です。また、夏の初旬から中旬にかけては、原爆の投下や終戦など過去を振り返り、貴重な教訓を忘れないように問いかける報道が多くなされます。そうした中、今年も8月12日を迎えることになりました。

今から38年前の1985年8月12日に羽田空港発伊丹空港行きの日本航空123便が、圧力隔壁の破損により群馬県御巣鷹山に墜落しました。乗員乗客524名のうち520名が死亡するという大惨事となり、現在でも単独機の事故としては最も犠牲者の多い悲惨な事故となっています。今年も多くの遺族が御巣鷹山への慰霊登山を行ったことが報道されています。9歳の男の子がこの便に一人で搭乗し、亡くなられました。事故当日に空港まで送ってきた母親が、息子の慰霊のために現地を訪れる様子がニュースで取り上げられていました。

航空会社において安全運航こそ最も重要であることは間違いなく、経営のトップから現場で活躍する社員まで、この安全に対する意識に違いはありません。しかし、安全運航は唯々、願っていても叶うものではありません。具体的な安全活動により、一つひとつのリスクを取り除くことで安全運航を継続することができます。ハインリッヒの法則という安全活動において欠かせない法則があります。大学の講義でも教授していますが、これは「1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故と300件のより小さな事故がある」というものです。この法則を逆説的に捉えると、300件の小さな事故を見逃さず、一つひとつのリスクに対してしっかりと対策を行うことにより、軽微な事故の発生を防ぎ、更に重大事故の発生を回避することができるということです。

航空会社ではセイフティマネジメントの一環として、こうして小さなリスクを丁寧に取り除き、重大な事故の発生を防止しています。安全は、身近なリスクを報告し、しっかりと改善していく活動の積み重ねにより保たれています。

【教授 安藤 正裕】

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