心理学科ニュース

202308.02
心理学科ニュース

【心理学部】放火事件の判決に際して、元科捜研の鑑定人(本学教授)が犯罪心理学的に評価

昨年11月に起きた連続放火事件の判決に際して、元科捜研の鑑定人であった本学心理学部の中山誠教授が、犯罪心理学的に評価した内容が、産経新聞に掲載されました。

関連記事:産経新聞

2023.8.1 「死ぬか捕まるしかない」はリアルか?犯罪心理学者が暴く連続放火男の隠された動機https://www.sankei.com/article/20230801-MBV5FSHCENL6ZBVQX6KY4EOFKQ/

さらに中山教授は、以下のような追加のコメントをしています

いつも思うことですが、マスコミは警察発表を鵜呑みにして、あるいは公判中の被告の発言をそのまま記事にしてしまい、それを聞いた一般市民も、報道内容を頭から信じ込んでしまうことが多いです。『自分のことは自分が一番よく知っている』というのは一昔前の聡明なお年寄りの言うこと、犯罪の場合、真犯人であっても、冷静に、そして、理路整然と、自分の犯行の一部始終を説明できることが少ないのです。そもそも、理にあわない行為をするから犯罪者として逮捕されます。

特に動機に関しては、そんなことくらいで犯罪をやってしまうのかと、彼らの言うことに耳を疑うような内容が多く、だから犯罪心理学の専門家は彼らの言っていることを多少は補って、一般市民にも理解できるようにしないといけないと思います。我々が大学で教えている犯罪心理学は、現場の刑事が自身の経験とカンに基づいて行う推理、いわゆる「事件の筋読み」のコツではありません。また、過去に発生した犯罪の歴史を学ばせているのでもなく、既に解決した事件の捜査プロセスの知識を身につけさせることにより、現在捜査中、あるいは係争中の事件の真相を学生自身が解き明かせる、問題解決能力を養成することにある。犯罪心理学を題材とはしているものの、それに限らず、問題発見・問題解決能力が身に付けば、一般企業に就職した後でも大いに役立つことが期待できます。

私は現役時代、捜査段階でポリグラフ検査をする際、容疑者(検査中は被験者=実験参加者)の言うことを全否定するつもりはありませんでしたが、とりあえず「被験者の話にはウソも混じっているのじゃないか」ということを帰無仮説として立て、犯行現場の詳細事実に関する認識(記憶)の有無を識別可能な質問表を準備していました。それが、真犯人でないと知りえないような、「秘密の暴露」にもつながるわけです。一方、被験者の言っていることはウソではないかという「帰無仮説」を棄却できるような、生理反応の測定結果が得られた時、被験者は事件に関与していないと結論していました。

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE
  • Twitter