看護学科コラム
【看護学科】看護師である前に、よき人であれ
看護師の仕事は、病気を持った方のお世話をする仕事です。まず、人のお世話をする前に自分のお世話ができなければ自立した看護師とは言えません。看護師という職業の一般的な印象は、キリスト教やナイチンゲール、母性、女性などの様々な歴史的背景から奉仕の心やボランティアというような滅私奉公的なものがクローズアップされがちです。しかし、現実はお世話する人(看護師)が自分をなくしてしまうほどに無償でケアする仕事なんて続くものではありません。
京セラを創業、JALを立て直したことでも有名な稲盛和夫さんは、座右の銘のひとつに「利他」があります。利他とは、仏教の言葉です。利他には前があり本当は「自利利他」と言います。お坊さんにとって「自利」とは、自分が悟りをひらくことです。悟りを得るために修行に打ち込みます。利他とは、他の人ために尽くすことです。自分だけのためでなく、他の人のためになることをするのが僧の務めです。自利と利他。このふたつを両立させることが理想とされます。
稲盛さんが経営する会社も「自利利他」が当てはまるとされています。自利とは、自社の利益のことです。利益をあげるためには、企業は顧客に尽くさねばなりません。ふたつはリンクしていて、ふたつをバランスよく行なっていくことで経営が成り立ちます。看護師も同じ事が言えると思います。「自利」人として正しいことができる。人として自分に優しくでき自分に慈しむ心が持てる人であってください。自分の心や身体が幸せで健康であれば楽しく人のために尽くすことができます。
自利と利他のバランスをとることができれば、自分にも人にもゆとりが生まれどちらにも優しく、どちらにも楽しく、面白みが生まれ、人生が豊かになっていくのではないでしょうか。皆様はどのように思われますでしょうか。