看護学科コラム

202401.12
看護学科コラム

【看護学科】ネパールでの健康支援活動を通じて見る世界

コロナによる長い活動自粛期間があけ、2023年夏からようやくネパールでの健康支援活動を再開することができました。日本という便利な近代社会からネパールに行くときは、いつもモードを切り替えます。不測の事態がおこっても、あわてずに対処できるよう五感をしっかり働かせるように意識します。年末に行ったネパールは乾期の真っ最中で、雨がふらない状況が1か月半続いて、盆地になっている首都カトマンズにはスモッグの薄雲がすっぽりとかかり、名物のヒマラヤ山脈もほとんど見えない状況でした。地方の活動地へいくために、道路工事中で半分以上が未舗装の山間地の道路を何時間も通りました。体力勝負の活動です。

昔から中国とインドの大国に挟まれ圧力を受けてきたネパールは、政治にも経済にも複雑な問題を抱え、人々は日本のような充実した健康サービスを受けることができません。都市部の生活は先進国と変わらないぐらい便利になりましたが、村落部では昔と変わらないような生活をしている人々もまだまだいて、生活面で大きな格差があります。しかしながら、私が国際協力事業団の医療調整員としてネパールで勤務していた20年ほど前と比べると、学校教育を受けられる人々は飛躍的に増え、積極的に自分の生活を改善しようとする意識が高くなりました。一緒に活動している医療職者や学生のメンバーたちも、最初は国外にいって安定した生活を送ることを計画していましたが、活動を通じて自分の国の現状をよく理解するようになり、ネパールで医療サービス改善に取り組むメンバーが増えてきました。最近ではネパールメンバーたちのほうが積極的に活動を行い、日本から行く私が励まされるようになってきました。

実際にその場に行って人々とふれあい、その環境に自分の身をおくことで、ネット記事や本の情報だけではわからない社会背景、そして人々の暮らしと思いが心や体を通して理解できるようになってきます。最初は具体的にわからなくても、続けることによって次第に自分の言葉で理解できるようになってくるものです。今や海外旅行はとても便利なりました。ぜひいろんな国に行って、いろんな人と出会って、いろんな場所に身を置いて、自分の心と体で、世界のことをひとつひとつ理解して、自分の世界をひろげてゆきましょう。

【准教授 杉野 美礼】

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE
  • Twitter