心理学科コラム

202103.03
心理学科コラム

【心理学部】『性格は変えられるのか』

皆さんは自分の性格を変えたいと思ったことはありませんか。どんなこともネガティブに考えてしまう、何をやっても長く続けられないなどといった自分の性格を嫌だと感じている人もいるのではないでしょうか。むしろ、自分の性格には非の打ちどころが全くないと感じている人はあまりいないと思います。
しかし、「親ゆずりの」という言葉があるように、性格も親から受け継いだものであり、遺伝なので仕方がないという意見もあると思います。また、環境や他者からの影響によって性格が変化するとしても、自分が望むような性格に変わるとは限りません。このように、性格は自分のものであるのに、なかなか思い通りにならないのは不思議です。

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では、そもそも性格とは何なのでしょうか。

生まれたばかりの赤ちゃんでも、おとなしい子や気難しい子などがおり、すでにそれぞれ異なる性質を持っているように見えます。これを専門的には「気質」と呼び、遺伝的要因が強い性格の部分と考えます。しかし、成長するにつれて、成功体験や失敗体験、人からの承認や叱責、喜びや悲しみといった気持ちを揺さぶられる経験などを積み重ねる中で、少しずつ行動パターンや考え方が変化していきます。そして、もともとの気質と経験から得たものとが複雑に影響し合いながら、性格が形成されていくと考えられています。

遺伝はもちろんですが、環境も自分の意思で変えることが難しいものです。そのため、性格は自分で作るものというよりも、作られるものという認識をされがちなのだと思います。

性格は目に見えません。しかし、人は相手がどんな性格なのかイメージすることができます。その際に手がかりとなるのは言動や態度です。
例えば、誰とでもすぐに仲良くできる人がいたら、「明るい性格だな」、「社交的な人だな」と性格を想像できます。では、この言動や態度はどうして人によって違うのでしょうか。それは考え方や物の捉え方が違うからです。つまり、「みんなと仲良くしたいな」「明るくしているとみんなも受け入れてくれるはずだ」と考えていれば明るく振る舞うようになり、「人付き合いは意味がない」「だれも自分には興味がない」と考えれば社交的になりません。そして、実は、この考え方は自分の意思で変えることができるのです。


ここに水が半分入ったコップがあるとして、それを見て「半分しかない」と考える人もいれば、「半分もある」と考える人もいます。
この第一印象の違いは過去の経験等の影響を受けているのかもしれません。しかし、最初は「半分しかない」と考えたとしても、「半分もある」と考えてみることは可能です。そして、半分もあると考えられれば、もったいないと思わずに水を飲めますが、半分しかないと考えたままだと水を飲むのを我慢するかもしれません。自分は臆病で優柔不断という人でも、「半分もある」と考えられれば、大胆な行動に出ることもできるのです。
そして、大胆で積極的な行動を繰り返し経験することで、物事を捉える際の第一印象が「半分もある」に変わっていく、つまり性格が変わるのだと思います。

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皆さんはどんな考え方をしがちになっていますか。もしかすると、その考え方は自分にとって都合の良いものだったから、今まで変えようとしてこなかったのかもしれません。
しかし、もし性格を変えたいという気持ちがあるのであれば、試しにいつもとは違う考え方をしてみてはどうでしょうか。

【心理学部 神垣 一規 講師】

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