社会学科コラム

202307.31
社会学科コラム

【社会学部】現場で学ぼう!! 子ども食堂での学生の経験

関西国際大学では現場での「学び」を重視する経験学習というカリキュラムがあります。社会学部では、神戸市(中央区・兵庫区・長田区)尼崎市、丹波市においてプログラムを展開しています。1年生から様々な現場に出向くことで、社会で活躍するための多様なスキルを学んでいます。今回ご紹介するのは神戸長田地域での「子ども食堂」活動です。

みなさんは子ども食堂をご存じでしょうか。子どもたちのなかには、家庭の事情から食事を満足に食べれない場合があります。あるいはコンビニのお弁当のみといった偏った食事、ひとりで食べなければならないこともあります。こうした子どもたちに食事を提供しているのが子ども食堂です。子ども食堂は行政的に行われている場所もありますが、ボランティア団体やNPOがおこなっている場所もあります。

現在、全国各地で子ども食堂の活動がおこなわれています。こうした取り組みがあることは良いことですが、そうした食堂へのニーズがあることは、寂しい思いをしている子どもが多い、ということでもあります。

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① 現場に行くこと

実際に現場に行って人と関わらないと得られない貴重な学びがあることが現場体験学習の重要なポイントだと感じました。

貧困問題の当事者である子どもたちと関わる中で、ネットで情報収集するだけでは得られない臨場感のある普段の生活を知ることができました。活動をする前と比べて問題意識がより具体的になり、当事者目線で物事を考えることができるようになったと実感しています。

参加している子どもの中には経済的な理由でクリスマスといった行事を家庭の中で経験していな子どもがいたり、毎日栄養の偏ったご飯を食べていたり、家族とのコミュニケーションが少ないといった問題を抱えていました。

そのような子どもたちは学校などにおいて周囲とのギャップに悩み、様々な場面で消極的になるということを事前知識として持っていましたが、実際には子どもたちは多種多様な葛藤を抱えており、一概に「全員がこう」と決めつけることは当事者のニーズとの差異が生まれてしまう可能性があるという本質的な問題解決力も現場体験学習ならではの学びだと思いました。

② 子ども食堂の存在意義

子ども食堂は「無料や低価格でご飯を提供するだけ」の場所ではなく、①で述べたような貧困問題の当事者である子どもたちに対して経験格差や周囲とのギャップを是正するという役割も担っているということを、活動を通して気づくことができました。自分はその格差の是正に直接関わっているという自覚を持ちながら活動を行うことによって強い責任感が生まれ、子ども食堂を設立した人の意図や、自分の活動の意味や役割を考えながら真剣に活動に取り組むようになりました。

③ マイノリティ問題を放置すること

マイノリティ問題を放置していると、いずれは大勢の生きづらさにも繋がると私は考えています。日本では交通事故が1日平均1600件起こっており、私たちの当たり前が当たり前じゃなくなる可能性は決して低くはないです。にも関わらず、生活保護受給者、ひとり親、障がい者など、しんどい環境に置かれたマイノリティに対する世間の目はとても厳しい。

「自分には関係ないから」と、マイノリティ問題を放置し、一定数いる生きづらい人は自己責任で仕方のないこととして切り捨てていると、どんな不利な状況であっても自分の問題は自分の力でなんとかしないといけない社会になってしまうのではないか。自分がマイノリティ側になったときにそんな社会でも許容できるのか。不平不満を言わずにいられるのか。

自己責任が求められる世の中では悩みがあっても誰にも頼れず「助けて」と言うことは難しい。そんな世の中はみんな生きづらいし、私はそんな冷たい世の中で生きていたくはない。助けることができる人が助ける社会であってほしい。助けられた人はその経験を他の困っている人に受け継げばいい。助け合いが当たり前の社会になれば、いつか困ったときに一人で抱え込まずに助けを求められるようになり、結果として全員が生きやすい社会になると私は考えます。

④ 自分に何ができるか・今後の展望

子ども食堂という場所で子どもの貧困問題に熱心に取り組む人と身近に活動して、直接当事者の子どもたちと関わって、自分の身近にもしんどい思いをしている人がたくさんいるということを痛感しました。このような人たちが生きやすくなるにはどうしたらいいのか。それは、私が勉強し、現状を分析し、適切な支援を知り、その知識を分配することだと思いました。

初めは多くの人を助けることができなかったとしても、まずは身近な人へ。そうすることによって、私に続いて同じような志を持って仲間になってくれる人が増えたらいいなと思います。そうなれば、多くの人を助けることができ、共生社会は実現すると思います。まずは、私の構想がいいなと賛同してもらえるように、今後はより熱心に社会問題を学び、自分に何ができるかを問い・行動し続けたいと思います。

関西国際大学社会学部社会学専攻

中島 真優

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