
心理学科コラム
【心理学部】疲れないコミュニケーションのコツ
人とのやりとりで、何だか疲れたな、損したなと思ったことありませんか?
マウントを取ってくる人、自分の主張を過度に押し付けてくる人・・・そんな人と接した後には、どっと疲れが出ますよね。さらに、後で思い返して、ああ言えばよかった、こう言えばよかった、なんて後悔したりします。
人とのやり取りで、疲れないコツってあるのでしょうか?今回は、アサーションについて紹介します。
アサーションは、不快や当惑を感じる状況下で相手のことも慮りながら、自分の気持ちを率直に伝えることを言います。英語でassertionというと「主張」の意味になりますが、アサーティブな関係では、単に個人の主張を押し通そうとすることではありません。
友人間のやり取りを例に挙げてみます。ある科目の期末試験が間近に迫ったある日、同じクラスのA君から、ノートがなくて困っているので貸してほしいと頼まれました。あなたは、今から帰ってその科目の勉強をしようと思っていたところでした。さて、あなたは、どう対応すればよいでしょうか?
下に示す対応パターンによって、後に続くあなたと相手の状況は大きく異なってきます。
非主張的な場合
自分の勉強計画がつぶれそうになる不安を押し殺して、A君が困っていることに同情し「字が汚くても良ければいいよ」などと言う。
A君はもちろん「それでもいい」と言うので、貸すハメになる。
➡あなたは、その日は試験勉強ができないことを悔やみながら漠然と過ごす。
攻撃的な場合
明らかに不愉快な顔をして「今頃ノート借りようなんて、常識ないんじゃない?今まで何してたの?そういう人にはノート貸さないことにしてるんだよね」と言い捨てて、その場を立ち去る。
後になって、あなたは、A君を侮辱したことが気になり、罪悪感で試験勉強が手につかなくなる。A君も、情けない気持ちになる。
➡その後、二人の関係はぎこちないものになる。
アサーティブな場合
「今から帰ってその科目を勉強するところなんだ。だから今回は貸してあげられない。この次から、もう少し早く言ってくれれば、貸してあげることができると思う」と、ていねいに、しかし、はっきりと頼みには応じられないことを伝える。
➡あなたは、無理せず自分の意志を伝えられたことに満足する。A君は、あなたの言うことに納得し、自分の不用意さに気づく。
〈アサーティブ〉とは、自分も相手も大切にした自己表現のことです。自分の人権のために自ら立ち上がろうとし、同時に相手の自由と人権を尊重しようとします。
参考文献:平木典子(2021)三訂版 アサーション・トレーニング: さわやかな〈自己表現〉のために 日本・精神技術研究所